アスベストの健康被害を受けた人の全てが補償対象に

アスベストを原因とする健康被害が生じた場合、過去にアスベスト関連の業務にたずさわっていれば労災保険から給付を受けられます。

しかし、かつては労災保険の対象者でなければアスベストの健康被害に対する補償を受けることができませんでした。

現在では「石綿健康被害者救済制度」が設けられており、労働保険の対象者以外の人もアスベストの被害者であれば補償を受けることができます。

石綿健康被害者救済制度とは?

石綿健康被害者救済制度とは、アスベストを原因とする病気にかかった場合に救済する制度のことで、アスベスト関連の業務にたずさわっていなかった人が対象となります。

アスベスト関連の業務にたずさわっていなかった人とは、アスベスト関連の業務にたずさわっていた人の家族や、かつてアスベスト製品を製造していた工場の近くに住んでいた人のことです。

アスベストの繊維は非常に細かく肉眼では見ることができません。そのため、直接アスベストに関する業務に関わっていなかったとしても、間接的な形でアスベストの影響を受けてしまうことがあります。

アスベストに関する業務にたずさわっていた人がアスベストによる健康被害を発症した場合、労災保険による給付で補償を受けられます。

しかし、2006年に石綿健康被害者救済制度が設けられる以前は、アスベストに関する業務にたずさわっていた人以外は、健康被害を発症しても補償を受けることができませんでした。

そのような状況を改善し、アスベストによる健康被害が生じた全ての人を補償の対象とするため、2006年に石綿健康被害者救済制度が設けられたのです。

制度で支給される「救済給付」と「特別遺族給付金」

石綿健康被害者救済制度で支給される給付金としては「救済給付」と「特別遺族給付金」があります。

救済給付とは、日本国内でアスベストが原因による疾病にかかった場合に支給される給付金です。給付の内容は、治療や療養のためにかかる医療費や療養費のほか、疾病によって亡くなった場合には葬祭料や遺族に対する弔慰金となります。

なお、救済給付の対象となる疾病は、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害をともなう石綿肺およびびまん性胸膜肥厚です。

特別遺族給付金とは、アスベスト関連の業務にたずさわっていた労働者が労災保険の給付を受けられなかった場合に支給される給付金のことです。

労災保険の給付のうち、遺族給付を受ける権利は5年を経過すると時効により消滅してしまうため、それ以降は労災保険の給付の申請ができなくなります。

特別遺族給付金は、労災保険の給付を受けられなかった遺族の救済を目的として設立された制度といえます。

給付を受けるための手続き、申請方法は?

石綿健康被害救済給付を受ける場合の申請は、環境再生保全機構に行いますが、地方環境事務所や保健所での申請も可能です。

日本国内でアスベストを吸入し、それを原因とする疾病にかかったこと、または死亡した人の遺族であることの認定を受けるためには、この申請を行わなければなりません。

申請する際に必要となる書類を大きく分けると、申請のための書類と医学的資料があります。必要な申請書類は環境再生保全機構のページに記載されています。また、申請書類の中には同機構のページからダウンロードできるものもあります。

参考:環境再生保全機構 申請(請求)なさる方
https://www.erca.go.jp/asbestos/shinsei/index.html

また、医学的資料は医師から発行してもらいます。

認定を受けるためには、環境再生保全機構が医学的資料の内容を環境大臣に伝え、環境大臣は中央環境審議会の意見を参考にして、医学的な判定の結果を通知します。

申請に対する認定は環境再生保全機構が行います。認定された場合には申請者に通知し、救済給付が始まります。

アスベストの健康被害は、アスベストを吸い込んでから10年から40年が経過した後に生じることが一般的です。肺の疾病が生じて、アスベストが関係している可能性がある場合は、保健所で相談し、申請の手続きを行いましょう。

(画像は写真ACより)

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