アスベストは肺の疾病を引き起こす原因に
アスベストを原因とするの症状の一つに「アスベスト肺」があります。アスベスト肺は、アスベストを吸い込む量が多くなるほど発症しやすくなり、息苦しさを感じやすくなります。
アスベスト肺の症状や、検査や診断の方法について具体的にみていくことにしましょう。
アスベスト肺とはどんな病気?
アスベスト肺とは、アスベストを多く吸い込んだことが原因で生じる症状です。
アスベストを吸い込んだ量が一定量を超えた場合に症状が発生しやすくなる半面、アスベストを吸い込んだ量が少なければアスベスト肺が生じる可能性は低くなります。
アスベスト肺は、アスベストばく露してから10年以上が経過した場合に症状が発生しやすくなる傾向があります。
アスベスト肺の症状が発生する原因は、肺の「線維化」です。線維化とは、細胞の外側に存在して分解されない性質を持つ「細胞外基質」が増える状態のことです。それによって皮膚や内臓が硬くなります。
アスベストは繊維として存在するものの、鉱物であるため、肺の中に入り込むと分解されずに残ってしまいます。
それが原因で肺が線維化してしまうと、肺の細胞が硬くなって肺の機能が低下し、呼吸しづらい状態となってしまうのです。
肺の線維化は、アスベスト以外の粉じんを吸い込んだ場合にも発生することがあります。そのため、アスベストを吸い込んだことが原因で線維化が生じた場合は「アスベスト肺」と診断して他の症状と区別しています。
アスベスト肺の症状は「息苦しさ」
アスベスト肺によって生じる症状は息苦しくなることです。その理由は、先の項目で説明したとおり、肺が線維化して肺の細胞に硬い部分が生じて、肺の機能が低下してしまうためです。
初期の症状は軽い息切れが起きることで、運動しているとつらく感じるケースもみられます。
さらに症状が進むと呼吸困難の状態となり、息をすることがつらくなるだけでなく、呼吸不全の症状が出る場合もあります。
アスベスト肺を検査・診断する方法は?
アスベスト肺の診断を行う場合は、アスベストのばく露歴があるかどうかを確認します。ばく露歴がある場合は、アスベストに関連する症状が出る可能性が考えられます。
アスベスト肺の症状を持つ患者に対し、医師が聴診器を使って肺のまわりの音を聴くと、通常の音とは異なる独特の音が聞こえる場合があります。
アスベスト肺の可能性が疑われる場合には、エックス線撮影、またはCTスキャンを利用して検査を行います。
エックス線で撮影された画像は肺を正面から見た状態です。また、CTスキャンで撮影された画像は肺を断面から見た状態となります。
アスベスト肺の診断はエックス線でも行えますが、CTスキャンを利用するとより診断しやすくなります。
アスベスト肺が原因で合併症にかかることも
アスベスト肺の症状が出た場合、合併症を発症することがあります。主な症状は、肺がんや中皮腫、気胸、胸水、気管支炎などです。
合併症とは、ある病気が発生した後に別の病気が発生してしまうことを指します。アスベスト肺にかかった場合に合併症を発症する理由としては、肺がんや中皮腫などの病気もアスベストを原因として発症するためです。
また、アスベスト肺の症状が出ることで肺の機能が低下しやすくなりますが、それが原因で肺に関する他の症状が発生する場合があります。
つまり、アスベスト肺によって合併症を引き起こす原因は、肺の機能低下といえるのです。
アスベスト肺の症状が重くなると呼吸困難の状態になることがあります。アスベストに関する作業に携わった経験があり、息苦しさを感じたら早めに医師に相談しましょう。
(画像は写真ACより)