アスベストに関する知識を理解し、健康被害を防ごう
アスベストに関する作業は、対策を十分に講じなければ健康被害の可能性があることから、作業に従事するためには「石綿取扱作業従事者」の資格を取得することが必須となります。
過去にはアスベストを含む建物が多数建築されましたが、今後はそれらの建物を解体する機会が増加します。石綿取扱作業従事者特別教育においてアスベストに関する知識を学ぶことは、健康被害の拡大を防ぐためにも有効な対策といえます。
石綿取扱作業従事者とは?
石綿取扱作業従事者とは、石綿取扱作業従事者特別教育を修了した人が得られる資格です。アスベストに関する職務にたずさわるためにはこの資格を有していることが必須となります。
アスベストに関する作業を行うために資格を必要とする理由は、アスベストが原因で健康被害が発生する可能性があるためです。
アスベストはごく小さな繊維状の物質ですが、肉眼では確認できないほど小さなものであるため、その場に飛散しているかどうかを判別することができません。
そのため、アスベストに関する作業中に飛散防止の対策を講じなければ、知らず知らずのうちにアスベストを吸い込む可能性があり、健康被害を発生させることにもなりかねないのです。
アスベストに関する作業において適切にアスベストを扱うためにも、石綿取扱作業従事者特別教育を受講しなければなりません。
今後は、アスベストを含む建物の解体が増加
また、アスベストに関する作業を行う場合に石綿取扱作業従事者の資格が必須である理由としては、今後、アスベストを含む建物の解体が増えていくことがあげられます。
厚生労働省が2014年に公表した「建築物石綿含有建材調査マニュアル」によると、2014年の時点でアスベストを含む可能性のある建物は約280万棟と推計されていますが、それらの建物の解体がピークとなるのは2028年前後とみられます。
参考:厚生労働省 建築物石綿含有建材調査マニュアル
http://www.mlit.go.jp/common/001064663.pdf
アスベストの使用は2006年に全面的に禁止されたことから、現在ではアスベストを含む建物は建築されていません。しかし、過去に建築された建物にはアスベストが使用されてため、建物の老朽化に伴って解体件数の増加が見込まれています。
アスベストによる健康被害が生じやすい状況が今後も続くことを踏まえると、石綿取扱作業従事者の資格取得は必須といえるでしょう。
石綿取扱作業従事者の資格を取得するためには?
石綿取扱作業従事者の資格を取得するためには、石綿取扱作業従事者特別講習を受講する必要があります。
講習は1日間で教育時間は4時間30分、受講資格は18歳以上です。
なお、18歳以下の人は労働基準法の年少者労働基準規則によってアスベスト関連の作業が認められていないため、石綿取扱作業従事者の講習を受けることができません。
講習の内容は以下の通りとなります。
・石綿の有害性(0.5時間)
・石綿等の使用状況(1時間)
・石綿等の粉じんの発散を抑制するための措置(1時間)
・保護具の使用方法(1時間)
・その他石綿等のばく露防止に関し必要な事項(1時間)
(引用:建設業労働災害防止協会)
講習の内容としては、アスベストの性質やアスベストを含む製品の種類、アスベストの粉じんの飛散を防ぐための方法などがあり、アスベストに関する作業において必要な知識を学ぶことができます。
作業を行うにあたって専門的な資格を必要とするものは多いですが、アスベストを扱う作業もそれに当てはまります。なぜなら、アスベストは健康被害をおよぼす可能性があるためです。
石綿取扱作業従事者の講義を受けてアスベストに関することを十分に理解し、アスベストに関する知識を活かしながら適切な作業の実施を心がけましょう。
(画像は写真ACより)