アスベストの取扱いは、複数の法律で規制空気中に飛散しているアスベストが肺の中に入り込むと肺の病気を発症する可能性があることから、アスベストの取扱いについては法律で定めています。

直接的に関連する法律としては「労働安全衛生法」があり、それに関連した規則として「石綿障害予防規則」がありますが、そのほかに大気汚染防止法や廃棄物処理法、建設リサイクル法も関連があります。

それぞれの法律はアスベストの取扱いについてどのように規制しているのか、その内容を確認しておきましょう。

大気汚染防止法大気汚染防止法とは、大気汚染を防いで人々の健康と生活を守ることを目的とした法律です。

同法では大気汚染物質の排出基準が定められているほか、大気汚染を発生させた事業者に対しては責任を問うことについても定めています。

主な大気汚染物質としては、物が燃えた後に生じる「すす」、つまり「ばい煙」や窒素酸化物などがあげられますが、アスベストも大気汚染物質に含まれます。

その理由は、空気中にアスベストが浮遊している場合、アスベストを含む空気が肺の中に入り込んでしまうと、長い年月を経過した後に肺がんや中皮腫など、肺の病気を発症する可能性があるためです。

現在ではアスベストの製造が禁じられていますが、過去に建設された建物の建材にはアスベストが含まれているため、建物を解体することによってアスベストが飛散する可能性があります。

アスベストを含む建材は「特定建築材料」と呼ばれていますが、特定建築材料が含まれる建物を解体する場合は、同法に基づいて都道府県知事に届け出しなければなりません。

そのほか、アスベストを解体する作業を行う場合は同法に基づき、作業基準を守ったうえで作業を行う必要があります。

例えば、吹き付けアスベストの除去作業を行う場合には、プラスチックシートで作業場所を隔離したうえで、集じん・排気装置を設置して作業場所の内部を負圧化することでアスベストの外部流出を防ぐことなどです。

廃棄物処理法廃棄物処理法とは、ゴミ問題を解決し、良好な生活環境の維持を目的とした法律です。具体的な内容としては廃棄物の排出量を抑えること、また、廃棄物の適切な処理があげられます。

アスベストを含む廃棄物は「廃石綿」と呼ばれます。

廃石綿について具体的に説明すると、アスベストを含む建物を解体した場合に発生した各種の建材、アスベストを含む建材を解体する作業現場において集じん機に集められたアスベスト、またはアスベストが付着しているとみられる廃棄後の防じんマスクなどがあげられます。

同法では、収集・運搬、中間処理、埋め立て処分基準についても定めています。

廃石綿を入れる容器や収集車は、運搬中に廃石綿が飛散したり流出したりしないことが求められます。また、廃石綿の処分における中間処理では、アスベストを1500度以上の高温で溶融することによって無害化処理が行われます。

埋め立て処分をする場合は、無害化処理を行うか、あるいは廃石綿がセメントで固化された状態とします。なお、廃石綿の海洋投入処分は認められていません。

建設リサイクル法建設リサイクル法とは、建設工事における廃棄物の増加を抑えること、廃棄物の再資源化と再利用を推進するために制定された法律です。

同法では建設廃棄物を木材、コンクリート、アスファルトなどに分別収集したうえで、それらの廃棄物の再資源化を求めていますが、アスベストが含まれる建設廃棄物に関しては、アスベストが飛散する可能性があるため通常の建設廃棄物と同様に処分することは認められていません。

そのため、同法においては、建設リサイクル法の対象となる建設工事を行う場合は、工事に着手する7日前までに都道府県知事への届け出が義務づけられています。

建設リサイクル法の対象となる工事は、建築物の新築、増築、リフォームのほか、解体工事も含まれます。また、建材にコンクリート、アスファルト、木材が使用されていることが条件となります。

解体工事を行う場合には、建物にアスベストが含まれているかどうかを現場での調査、または建築物の図面を利用して判断し、建物にアスベストが含まれているかどうかを明確にしておきます。

それによって、リサイクル資材にアスベストが含まれていない状態とすることが可能となります。

アスベストの取扱いはさまざまな法律によって規制されていますが、その理由はアスベストを原因とした健康被害を生じさせないためです。作業者を守るためにも、アスベストに関連した法令に基づいて作業を進めていきましょう。

(画像は写真ACより)

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