場合によってはアスベスト測定を短時間で行う必要も

通常、アスベストの含有状況を調査する場合、正確さが求められるために時間を要しますが、災害時など、緊急を要する状況においては、アスベストの測定を短時間で行わなければなりません。

そのような状況に対応するため、現在ではアスベストを短時間で判定することが可能となっており、迅速な対応ができます。

アスベストの簡易測定はどのような場合に行われる?

アスベストの簡易測定は、災害が発生して古い建物が倒壊し、その建物に含まれるアスベストが飛散する可能性がある場合など、緊急性が求められるときに行われます。

通常、アスベストの測定は、アスベストが含まれる可能性がある建物を解体する前に、厚生労働省の通達に基づき、事前調査の形で行います。

事前調査は、書面調査、現地調査の順で行われます。現地調査の段階でアスベストが検出されればその段階で調査は終了となりますが、現地調査でアスベストの含有状況が不明な場合は、試料採取を行い、試料を分析します。

このように、正式な形でアスベストの含有状況を調査すると時間がかかりますが、災害時は緊急を要するため、検査結果が判明するまでの時間が短縮される簡易測定が行われています。

アスベストの簡易測定はどんな方法がある?

アスベストの測定を簡易的に行う方法としては、顕微鏡を用いた測定、アスベストアナライザーの使用、アスベスト簡易判定キットの使用があります。

それぞれの方法についてくわしくみていくことにします。

顕微鏡を用いた測定

アスベストが含まれているかどうかを迅速に判定するためには、顕微鏡を使用する方法があります。顕微鏡を使用すれば、アスベストが含まれているかどうかを分析できる「定性分析」が可能となります。

偏光顕微鏡を使用すると、1つの検体につき15分程度で定性分析が行えます。また、X線回折と実体顕微鏡を組み合わせれば、短時間で定性分析が可能です。

なお、顕微鏡を用いた測定で気をつけたい点は、アスベストの含有状況を誤って判定することです。アスベストが含まれていないにもかかわらず含まれていると判定したり、逆に含まれているのに含まれていないと判定したりすることは誤判定となります。

そのため、顕微鏡を用いた測定は熟練者によって行われることが最適といえます。

アスベストアナライザーによる測定

アスベストアナライザーとは、アスベストの含有状況を測定できる機器のことです。

近赤外線を使用することによって、アスベストが含まれているかどうかを数秒程度で判定できます。なお、アスベストアナライザーが測定できるのはアスベストの含有率が1~2%以上の場合に限られます。

そのため、含有率が低ければアスベストアナライザーで検知しない場合があります。また、アスベストアナライザーでは、アスベストが含まれていないことの証明はできません。

アスベスト簡易判定キットの使用

アスベスト簡易判定キットとは、試薬を用いてアスベストが含まれているかどうかを判定するものです。

アスベスト簡易判定キットでアスベストの含有状況を調べるためには、アスベストの成分が試薬に反応し、発色する性質を利用します。

アスベスト簡易判定キットを使用して調査する方法を簡潔に説明すると、試料を採取し、不純物を取り除いた状態にして試薬を混ぜます。液剤が発色すればアスベストが含まれていると判定できます。

アスベスト簡易キットを利用すれば、誰でも容易に、しかも短時間でアスベストが含まれているかがわかります。また、アスベストの含有率が0.1~0.5%程度であっても反応するので、信頼性が高い方法といえます。

まとめ

アスベストの簡易測定によって、アスベストが含まれているかどうかの検査が短時間でコストをかけずに行えるようになりました。

アスベストの含有状況の調査は、通常はある程度の期間を見込む必要がありますが、緊急時などは簡易測定を行って即座に対応することが可能です。

アスベストの簡易測定は、緊急時に適用されることで大きな効果を発揮します。

(画像は写真ACより)

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