健康被害を防ぐためにも、石綿処理は適切に

アスベストを含む建物の解体作業を行う場合、アスベスト廃棄物が発生します。アスベストの飛散と健康被害の発生を防ぐためにも、石綿処理は適切に行う必要があります。

石綿処理において発生する作業とその手順については、作業を行う前にあらかじめ理解しておきましょう。

石綿処理のおおまかな流れは?
石綿処理においては、アスベスト廃棄物を二重袋詰めにして専門の業者に運搬と処分を委託する流れとなります。そのほか、アスベストが使用されていた建材からアスベストを除去した後は、粉じん飛散防止処理を行います。

これらの作業について詳しくみていくことにしましょう。

粉じん飛散防止処理

粉じん飛散防止処理とは、建材からアスベストを除去した後に、建材の表面に残っているアスベストが飛散しないように行う処理のことです。

アスベストの除去作業では、飛散抑制剤を使用して建材に付着しているアスベストを固め、そのうえでアスベストをはがし取りますが、その作業を行ってもアスベストはわずかに残るために飛散する可能性があります。

粉じん飛散防止処理では、アスベストを除去した面に飛散防止剤を使用し、建材の表面を覆うことによってアスベストが飛散しないようにします。

アスベスト廃棄物の二重袋詰め

アスベスト廃棄物を廃棄する場合は袋を二重にします。その理由は、袋を一重の状態で廃棄した場合、アスベスト廃棄物が全て袋の中に入っているとは限らず、一部が袋の外側に漏れてしまうことがあるためです。

特に、アスベストは非常に細かくて目で見ることができないため、袋の外側に漏れているかどうかを見分けることができません。安全性を確保するためにもアスベスト廃棄物は二重にした状態で廃棄します。

アスベスト廃棄物を廃棄する場合は作業場内で袋に詰めます。この時点では袋は一重です。

作業場の外にはセキュリティゾーンが設けられていますが、セキュリティゾーン内の前室に設けられている真空掃除機を使用して袋の外側に付着しているアスベストを除去します。

その後、アスベスト廃棄物が入っている袋の外側からもう一枚の袋をかぶせて二重の状態とします。この状態にすることで廃棄が可能となります。

密閉容器に保管

そのほか、アスベスト廃棄物を入れるものとして「堅牢な容器」があります。なお、堅牢な容器とはドラム缶などの密閉容器のことです。

ドラム缶は、二重包装にして廃棄したアスベスト廃棄物を詰めるために使われたり、アスベストを含む建材を入れるために使われたりします。

場外への搬出 専門の業者に依頼

吹き付けアスベストやアスベストが含まれる保温材など、飛散性アスベスト廃棄物は一般の産業廃棄物とは異なり「特別管理産業廃棄物」に指定されています。

なお、アスベスト成形板や石綿スレートなど、アスベストが飛散する可能性がないものについては、通常の産業廃棄物として廃棄できます。

特別管理廃棄物とは以下のものを指します。

爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物
(引用:廃棄物処理法)

飛散性があるアスベストの廃棄物は、特別管理産業廃棄物の中でもより有害性が高い「特定有害産業廃棄物」に分類されます。そのため、アスベスト廃棄物の運搬と処分は専門の業者に委託する必要があるのです。

アスベスト廃棄物の運搬は「特別管理産業廃棄物収集運搬業者」に、処分は「特別管理産業廃棄物処分業者」に委託します。

アスベスト廃棄物の排出者は、処理業者に対して産業管理物廃棄表(マニフェスト)を交付し、廃棄物の処理が適切に行われたかどうかをマニフェストで確認します。

アスベスト廃棄物が生じた場合は、廃棄物を排出する事業者が適切な手段によって廃棄物を処理しなければなりません。健康被害を防ぎ、安全な状態を保つことが事業者に義務づけられています。

(画像は写真ACより)

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