アスベスト診断士の判断を仰いで飛散を防止しよう！
アスベスト調査に関する資格の一つに「アスベスト診断士」があります。主な業務としてはアスベストの使用状況の判断、使用されているアスベストの適正な処分方法を判断すること、アスベスト解体工事のチェックと適正なアドバイスがあります。
現在では、主にアスベストが飛散する原因となるのは、アスベストを含む建物を解体するときです。解体作業を行う場合は、アスベスト診断士の判断を仰ぐことで適切な工事とアスベストの処分が行えます。
アスベスト診断士とは？
アスベスト診断士とは、一般社団法人JATI協会が認定している資格です。資格を取得するためには同協会が実施する研修会に参加し、試験に合格する必要があります。
アスベスト診断士の業務は以下の通りです。
・アスベストがどこに使われているかを判断する
・使われているアスベストの処理方法を判断する
・アスベストを含む製品の解体工事が適正かチェックする
それぞれについてくわしく説明します。
アスベストがどこに使われているかを判断
アスベスト診断において重要な点は、アスベストの使用の有無を判断するほかに、アスベストがどこに使用されているかを判断することです。
アスベストが使用されている箇所を見極めておくことで、建物の解体工事を行う際にアスベストの飛散を防げるようになります。
アスベスト診断士は、建物の設計図、使用されている建材の名称からアスベストが使用されている箇所の目星をつけ、目視でアスベストの有無を判断します。
使われているアスベストの処理方法を判断する
また、使われているアスベストの処理方法を判断することもアスベスト診断士の重要な役割です。
アスベスト診断士は、資格を取得するための研修において、アスベストの処理方法について学びます。具体的な内容としては廃棄物の処理方法や飛散防止対策、保護具の正しい使い方、建築リサイクルに関する知識です。
アスベスト診断士はアスベストの処理方法を理解しているため、適切なアドバイスを行えます。
アスベストを含む製品の解体工事が適正かチェックする
そのほか、アスベスト診断士はアスベストを含む製品の解体工事が適正かどうかについてもチェックします。
アスベストを含む製品の製造が禁止されている現在、アスベストが飛散する主な原因となるのは、アスベストを含む建物の解体工事を行う場合です。
解体時のアスベストの飛散を防ぐため、アスベスト診断士は解体工事の方法が適正であるかどうかをチェックします。工事の方法に問題があれば、適切な方法をアドバイスして建物解体時のアスベストの飛散を防ぎます。
アスベスト診断士の資格を取得するには
アスベスト資格診断士の資格を取得するためには、一般社団法人JATI協会が実施する「アスベスト診断士養成研修会」に参加し、試験に合格する必要があります。
研修会の受験資格は以下の通りです。
1. 石綿作業主任者技能講習修了者又は特定化学物質等作業主任者技能講習修了者(平成18年3月まで)
2. 第1種の作業環境測定士
3. 建築士法に基づく、一級建築士及び二級建築士の免許登録者
4. 建設業法に基づく、一級施工管理技士（建築施工管理）の資格を有する者
5. 労働安全衛生法に基づく、労働衛生コンサルタントの資格を有する者
6. アスベストを含むものの除去に関し、3年以上の実務経験をもつ者
7. アスベスト有無の事前調査に関し、1年以上の実務経験をもつ者
（引用：一般社団法人JATI協会）
研修会は3日間にわたって実施され、アスベストに関する基礎知識、アスベストの調査、分析、診断、処理の各方法について勉強します。
研修後に試験を受け、総得点のうち70％以上、なおかつ基礎編、調査・診断編および石綿処理編の各項目が60％以上の場合に合格となります。
法改正による2023年10月以降の対応について
石綿障害予防規則等の一部改正により、2023年10月以降はアスベスト診断士の資格では石綿有無の事前調査が認められないことになりました。
理由としては、アスベストに関する事前調査は厚生労働大臣が定めた者が行う必要があるためで、アスベスト診断士はその要件を満たさないためです。
なお、日本アスベスト調査診断協会に入会し、登録を行えば2023年10月以降も石綿有無の事前調査が認められます。同協会に入会する条件の一つにアスベスト診断士養成講座を修了していることがあります。
つまり、2023年10月以降もアスベストの調査業務を行うためには、アスベスト診断士の研修を受講し、試験に合格することが条件となります。
まとめ
アスベスト診断士の役割は、アスベストによる健康被害を防ぐことが大きな目的となります。それを実現するための方法は、アスベストの使用状況や処理方法の判断、解体工事の方法をチェックすることです。
アスベスト診断士は、アスベストに関する専門的な知識を有しています。アスベストの含有状況の確認や、アスベストを含む建物の解体工事を行う場合は、アスベスト診断士に依頼することでアスベストに対する不安が解消されます。
（画像は写真ACより）
