「湿潤化」はアスベストの飛散防止に効果的
アスベストを含む建材の解体作業ではアスベストが飛散する可能性があることから飛散防止対策が求められますが、アスベストの飛散を防ぐために有効な方法として「湿潤化」があります。
アスベストを湿潤化によって処理するためには、どのような液剤を使い、どのような方法で作業を進めれば良いのでしょうか。湿潤化の具体的な方法についてみていくことにしましょう。
除去作業を確実に行わなければならない理由は?
アスベストの除去作業を確実に行わなければならない理由は、アスベストが体内に入り込むことによって、肺がんや悪性中皮腫などの肺の疾患が発生する可能性があるためです。
アスベストは繊維状であり、飛散しやすい性質がありますが、その繊維は非常に細かいものであるために肉眼では見ることができません。
そのため、アスベストが飛散している場合はそれに気がつくことなく、知らず知らずのうちに吸い込んでしまう可能性も十分にあり得ます。
目に見えないアスベストの吸入を防ぎ、健康被害の発生を防ぐためにも、アスベストの除去作業は確実に行う必要があるのです。
湿潤化でどのような効果が期待できる?
アスベストの除去作業において有効な方法としては「湿潤化」があります。湿潤化とはアスベストを湿らせることによってアスベストの飛散を防ぐ方法ですが、湿潤化によってアスベストの飛散を防ぐ効果が期待できます。
アスベストの湿潤化では水を使う方法もありますが、水よりも飛散を十分に防げる液剤を吹き付けることが一般的です。
特にアスベストの湿潤化においては、液状のもので徐々にゲル状に変化していくタイプの液剤が一般的に使用されています。
その液剤を使用することによってアスベストを封じ込めることができ、飛散を防ぎながら安全にアスベストを処理することができるのです。
除去作業はどのような手順で行う?
アスベストの除去作業においてはアスベスト除去剤を使用します。
アスベスト除去剤を使う場合には水と混ぜて使用します。アスベスト除去剤を建材に使用されているアスベストに対して吹き付けることにより、アスベスト除去剤がゲル状となってアスベストを包み込み、アスベストが飛散しない状態となります。
アスベストの除去作業の手順は、飛散抑制の作業を行った後に飛散防止の作業を行う流れとなります。
飛散抑制の作業とは、建材に使用されている吹き付けアスベストを除去するために行う作業のことです。
飛散抑制の作業では「粉じん飛散抑制剤」を使用しますが、それを使用することによって液剤とアスベストの繊維が結合され、アスベストをゲル状に固めた状態で安全に除去できます。
飛散防止の作業とは、吹き付けアスベストが除去された建材からアスベストが飛散することを防ぐ作業です。
飛散抑制の作業を行うことで建材からは吹き付けアスベストが除去されますが、アスベストがわずかに残っている場合があるために、アスベストが飛散する可能性はゼロとはいえません。
飛散防止の作業を行うことによって、アスベストがわずかに残っていた場合であっても、それらのアスベストが封じ込められる形となるため、アスベストの飛散を防ぐことが可能となるのです。
アスベストは非常に細かい繊維であり、飛散しやすい性質を持っていることから、その対策としては飛散させないことが最も効果的といえます。
飛散を防ぐためにはアスベストそのものを包み込む方法が適切ですが、液剤を使用する湿潤化の方法であれば、アスベストを飛散させることなく安全に除去することが可能となります。
(画像は写真ACより)