より危険性が高い廃棄物は「廃石綿等」

アスベストの廃棄物の種類としては「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物等」があります。一見すると同じような意味合いに感じられますが、これらのうち、危険度が高い廃棄物は「廃石綿等」となります。

これらの廃棄物を比較し、具体的にどのような違いがあるのかを調べてみましょう。

廃石綿等とは?

廃石綿等とはアスベストが含まれている廃棄物のことで、大まかに分けると3種類あります。

・建築物に吹き付けられていたアスベストや、建築物に含まれていたアスベストが廃棄されたもの
・アスベストを含む建材の除去作業の現場で使用し、廃棄された防じんマスクや集じんマスクなどの用具
・輸入されたアスベストのうち、事業活動によって生じたもの

上記の3種類は、アスベスト除去作業のレベル1、レベル2の作業で発生するもので、共通点は廃棄物からアスベストが飛散する可能性があることです。

そのため、廃石綿等は「特定管理産業廃棄物」に定められており、厳重に管理された状態で収集・処分が行われます。

石綿含有廃棄物等とは?

石綿含有廃棄物等は、新築や改築時、または建物を除去した場合に生じる廃棄物のうち、アスベストが物質の重さあたり0.1%を超えて含んでいるもの、という規定があります。

石綿含有廃棄物は、アスベスト除去作業のレベル3の作業で発生します。

石綿含有廃棄物等の特徴は、通常の状態ではアスベストが飛散しないことです。石綿含有廃棄物等に該当する建材としてはアスベスト成形板がありますが、これは建材の内部にアスベストがセメントで固定されている状態となっています。

そのため、通常はアスベストが飛散する心配はありませんが、解体作業によって建材の内部が露出した状態になると、アスベストが飛散することも考えられます。そのため「石綿含有廃棄物等」として、通常の廃棄物と分けて廃棄します。

廃石綿等の収集・処理の方法

廃石綿等を処分する場合は、アスベストが飛散することのないよう、隔離されている作業場で専用の袋にアスベスト廃棄物を入れます。

次に、アスベストが含まれている廃棄物を固形化、または薬剤を使用して安定化処理を行ったうえで、アスベスト廃棄物が入っている袋を二重に梱包し、アスベストの飛散を防ぎます。

袋詰め済みのアスベスト廃棄物は「特別管理産業廃棄物収集運搬業」の許可を受けている業者に収集を依頼します。

アスベストを埋め立てる場合、溶融処理、もしくは無害化処理を行っていれば通常の産業廃棄物と同様に処理できます。

溶融・無害化の処理を行っていない場合は、廃棄物の固形化・安定化処理を行った後に二重で梱包し、産業廃棄物の最終処分場の定められた場所に廃棄して埋め立て処分を行います。

なお、海洋投入処分は認められていません。

石綿含有廃棄物等の収集・処分の方法

石綿含有廃棄物等は特別管理産業廃棄物ではないため、通常の産業廃棄物と同様に処分します。

石綿含有廃棄物等を収集・運搬する場合、産業廃棄物収集運搬業者の許可を受けている必要があります。また、石綿含有一般廃棄物の場合は一般廃棄物収集運搬業者の許可が必要です。

産業廃棄物とは事業活動で生じた廃棄物のうち、木くずや廃プラスチック類、がれきなど、大量に排出されたり、処理が困難であったりするものが当てはまります。

また、一般廃棄物とは、家庭から生じた廃棄物や、事業活動で生じた廃棄物のうち産業廃棄物に含まれないものを指します。

石綿産業廃棄物は、産業廃棄物の最終処分場に埋め立て処分を行い、アスベストが飛散しないようにします。なお、石綿含有廃棄物等も廃石綿等と同様に海洋投入処分は認められていません。

まとめ

廃石綿等とは、通常の状態でアスベストが飛散する可能性がある廃棄物で、石綿含有廃棄物等とは、アスベストが飛散する可能性が低い廃棄物といえます。

そのため、アスベスト廃棄物の種類が異なれば、処理方法や収集・運搬方法にも違いがあります。適切な廃棄処理を行い、アスベストの飛散を防止しましょう。

(画像は写真ACより)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事