検査を実施して、アスベストに対する不安を解消

現在では、アスベストを含む製品の製造が禁止されているものの、過去に建てられた建物には現在でもアスベストが使用されている場合があり、解体時に飛散するおそれがあります。

アスベストの飛散に対する不安を解消するためには、空気中に含まれるアスベストの量を検査することが最も効果的です。空気中のアスベスト量を測定する方法について紹介します。

空気のアスベスト濃度の測定が行われる条件は?

アスベストを原因とする健康被害の発生を防ぐためには、空気中のアスベスト濃度を測定し、状況を把握することが必要となります。

アスベスト濃度の測定が行われる条件としては、アスベストを含む建材の解体作業を行っている場所であること、環境省が実施している「アスベスト大気濃度調査」の場所として選ばれた場合です。なお、アスベスト大気濃度調査に関する内容については後述します。

現在では、アスベストを含む製品の製造が禁止されているため、アスベストが飛散する可能性があるのは、アスベストを含む建物の解体作業を行っている場所となります。

そのため、アスベストを含む建物の解体作業現場においては、アスベスト濃度の測定が行われます。また、自治体によっては、建物の解体工事においてアスベストの濃度測定が義務づけられている場合があります。

アスベスト濃度測定 空気中のアスベストを採取する条件は?

アスベスト濃度の測定を測定する場合、「作業室内」、「室内環境・排気箇所」、「敷地境界」の3種類の条件にて測定を行います。

作業室内とは、解体工事が行われている室内のことを指します。また、室内環境とは建物の内部のうち、工事を行っていない室内のことを指し、排気箇所とは工事を行っている建物の排気口付近です。

敷地境界とは、建物がある敷地の境界部分のことで、敷地の角の部分にあたる4か所で測定を行います。

空気中に含まれるアスベストを測定する方法は?

アスベストの濃度を測定するための一般的な方法は、ポンプを利用して空気を吸い込み、ポンプの中にセットしたフィルターにどの程度の量のアスベストが付着しているかを調べることです。

アスベスト濃度測定は、「作業室内」、「室内環境・排気箇所」、「敷地境界」の3種類で行われることを説明しました。

それぞれの条件においては、空気を吸引する量と吸引する時間は異なります。測定場所別の空気の吸引量と吸引時間は以下の通りです。

・作業室内:毎分1Lで15分以上
・室内環境、排気箇所:毎分5Lで2時間
・敷地境界:毎分10Lで4時間

また、アスベストによる健康被害が生じないようにするための数値基準として「管理濃度」が設定されています。

管理濃度は、1Lあたりに含まれるアスベスト繊維の数のことで、管理濃度が基準よりも低ければ、健康被害が生じるリスクは低くなります。

アスベストの繊維の数を調べるためには、位相差顕微鏡を利用します。

なお、管理濃度は測定場所によって異なります。測定場所別の管理濃度は以下の通りです。

・作業室内:1Lあたり150本
・室内環境、排気箇所、敷地境界:それぞれ1Lあたり10本

これらの数値は、労働安全衛生法や大気汚染防止法などの法令に基づいて規定されたものです。

環境省が実施する「アスベスト大気濃度調査」

環境省は、毎年アスベスト大気濃度調査を実施しています。

調査が実施される場所としては、大きく分けるとアスベストの発生源とみられる所、発生源の周辺地域です。アスベストの発生源としては、以下の場所があります。

・アスベストを含む建物の解体現場
・過去にアスベストを含む製品を製造していた事業場
・廃棄物処分場
・蛇紋岩地帯
・高速道路及び幹線道路沿線

また、アスベストの発生源の周辺地域としては、以下があります。
・住宅地域
・商工業地域
・農業地域
・内陸山間地域
・離島地域

アスベスト大気濃度調査が行われる場所は、平成17年度から継続して調査が行われている場所のほか、自治体から推薦があった場所、熊本地震で被害が発生した場所です。

平成30年度のアスベスト大気濃度調査では全国50地点で調査が実施されました。

調査の結果、多くの調査地点でアスベスト繊維の数は1Lあたり1本を下回りました。

しかしながら、過去にアスベストを含む製品を製造していた事業場やアスベストを含む建物の解体現場、熊本県内のがれき集積場や廃棄物処分場の中には、1Lあたり1本を超える場所もみられました。

まとめ

空気中のアスベスト調査が行われるのは、アスベストを含む建物を解体する現場や廃棄物処分場など、アスベストが発生する可能性がある場所です。

これらの場所ではアスベストの飛散が懸念されますが、定期的にアスベストの測定調査が実施されれば、付近で暮らしている立場としても安心できるのではないでしょうか。

(画像は写真ACより)

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