アスベストの飛散を防ぐには計画の作成が重要
アスベストを含む建物を解体する工事を行う場合、適切な対策を講じなければ、アスベストが飛散してしまう可能性があります。
それによって、工事を行う作業者がアスベストばく露するだけでなく、工事現場の周辺に住む人たちもアスベストの被害を受けてしまうことも考えられます。
工事でアスベストを飛散させないためには、工事の計画を作成し、所定の官庁に提出する必要があります。もし、工事の計画書類を提出しなければ罰則が科せられます。
アスベストの飛散で困るのは作業者と現場周辺の住民
建物の解体工事によってアスベストの飛散が予測される場合、アスベストによる被害を受ける可能性があるのは、工事の作業者と工事現場の周辺で生活している住民です。
そのため、工事の作業者と工事現場の周辺で生活している住民がアスベストによる被害を受けた場合、発注者と施工業者が罰則の対象となります。
違反の根拠となる法律としては、大気汚染防止法と労働安全衛生法があります。
法律上で規制される内容
法律上の規制としては以下のものがあります。
・事前調査
・発注者による使用状況通知
・作業計画
・計画の届け出
・労働基準監督署長への作業届出
・都道府県知事への作業実施届出
それぞれについてみていきます。
事前調査
事前調査とは、アスベストを含む建物の解体作業などでアスベストが飛散する可能性がある場合、建物にアスベストが含まれているかどうかを事前に調査することを指します。
調査の方法は、目視による確認がありますが、目視で確認できない場合には設計図書で調べてアスベストが使用されているかどうかを確認します。
発注者による使用状況通知
発注者による使用状況通知とは、アスベストを含む建物の解体作業を行う場合、作業の発注者は施行者に対してアスベストが使用されているかどうかを通知することです。
アスベストの使用状況を発注者だけでなく、施行者も把握しておくことによって、適切な対策を講じることが可能となり、施工者がアスベストの被害を受ける可能性を低くすることができます。
作業計画
作業計画とは、アスベストの飛散が生じる可能性のある作業を行う場合、作業者がアスベストによる健康被害を受けることのないように作業の計画を立てておくことです。
具体的には、作業者がアスベストばく露しないようにするため、アスベストの粉じんが飛散しないための対策を講じること、そして作業の方法と順序を決めることです。
実際に作業を行う場合は、作業計画に基づいて作業を行います。それによって、作業者をアスベストの飛散から守ることが可能となります。
労働基準監督署長への作業届出
労働基準監督署長に届け出るものとしては、工事計画届があります。工事計画届は、耐火・準耐火建築物に使用されている吹き付けアスベストの除去作業を行う場合に提出します。
都道府県知事への作業実施届出
都道府県知事に届け出るものとしては、特定粉じん排出等作業の届出があります。アスベストは、飛散して人間の肺の中に入り込むことで健康被害が発生する可能性があることから、「特定粉じん」に指定されています。
アスベストを含む建物の解体工事で、アスベストの除去、封じ込め、囲い込みのいずれかの作業を行う場合は、都道府県知事に対し「特定粉じん排出等作業」の届出を行う必要があります。
届出義務者は工事の発注者、または自主施行者です。届出は作業開始の14日前までに行います。
違反した場合の責任
違反した場合の責任は、刑事責任と民事責任に分けられます。
刑事責任には、大気汚染防止法違反と労働安全衛生法違反の2種類があり、民事責任は施工業者と発注者が負うことになります。
工事計画届など、計画の届出を行わなかった場合は50万円以下の罰金が科せられます。また、特定粉じん排出等作業など、都道府県知事あての届出を行わなかった場合は3か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
アスベストを飛散させた場合に罰則が設けられているのは、作業者と工事現場周辺の住民がアスベストによる被害を受けないようにするためです。
アスベストの健康被害を発生させないためにも、法律に基づいて工事を実施することが重要となります。
(画像は写真ACより)