現在でもアスベストが使用されている建材は存在
現在では、アスベストを含む製品の製造や使用が全面的に禁止されていることから、アスベスト製品を直接目にする機会は少なくなっています。
しかしながら、過去にはアスベストを含む製品が多く生産されており、過去に建てられた建物にアスベストが使用されているケースも多く見受けられます。
アスベストが飛散すると健康被害を生じることから、建物にアスベストが使用されているかどうかを判断したいと考える人もいるでしょう。目視だけで建物にアスベストが含まれているかを判断する方法はあるのでしょうか。
目視でアスベストの使用状況を判断することは困難
建物にアスベストが使用されているかどうかを目視で判断することはかなり難しいといえます。
その理由は、建物内部のあらゆる箇所にアスベストが使用されていること、建物に使用される建材の種類は非常に多く、アスベストが含まれている建材かどうかを一目で見分けることが困難であるためです。
建物にアスベストが使われている部位としては、鉄骨造の建物の鉄骨がむき出しの部分、配管まわり、外壁材や屋根材などがあります。
アスベストはあらゆる箇所に利用されているため、目視だけでは「建材にアスベストが使用されているかもしれない」という予測を立てられるだけに過ぎません。
建物にアスベストが使用されているかどうかを確認するためには、専門家に調査を依頼し、建材の分析を行う必要があります。
アスベストは建物のどの部分に使用されている?
建物において、アスベストが使用されている可能性がある部位をまとめると以下のようになります。
・鉄骨造の建物で鉄骨がむき出しとなっている部分
・鉄骨造の建物の天井部分や機械室など
・ボイラーや配管など、熱が発生する部分
・屋根材
・外壁材(外壁や軒天)
・床材
・内装材(壁や天井)
鉄骨造の建物で使用される「吹き付けアスベスト」
鉄骨がむき出しになっている箇所には「吹き付けアスベスト」が多く使用されています。見分け方は表面がワタ状になっていることです。
吹き付けしてから長年が経過したものほどワタ状に見えやすく、場合によってはワタのようなものが垂れ下がっていることもあります。
色合いは青色、灰色、白色、茶色に見えます。青色に見えるアスベストは「クロシドライト」で、青石綿と呼ばれることがあります。また、茶色に見えるアスベストは「アモサイト」で、別名は茶石綿です。
吹き付けされたものが2層に重なっている場合、最初に吹き付けした「下吹き」の部分が青色または灰色、仕上げとして吹き付けした「上吹き」の部分が白色の場合は、吹き付けアスベストと判断できます。
アスベストは保温材や断熱材などにも使用
アスベストは耐熱性に優れた性質を持っていることから、保温材や断熱材としても使用されました。
保温材が使用されたのは、ボイラーやタービンなど熱を発する機材、ダクトなど熱を運ぶための部材です。
また、鉄骨の耐火性を高めるために耐火被覆材としても使用されたほか、屋根や煙突の断熱材としても使われました。
屋根材、外壁材、内壁材など、さまざまな箇所で使用
そのほか、アスベストは屋根材、外壁材、内壁材などさまざまな建材に使用されています。
アスベストを含む建材の一種であるアスベスト成形板とは、建材の内部にアスベストが閉じ込められている状態になっているもので、耐熱性や耐久性に優れた性質を持っています。
通常の使用においてはアスベストが飛散する心配はありませんが、建物の増改築などで建材を切断したり、あるいは処分したりする場合に、成形板の内部に含まれるアスベストが飛散する可能性があるので注意が必要です。
まとめ
アスベストが使用されている建材を目視だけで確認することは困難であるため、アスベストの使用状況を特定するためには、専門家による調査・分析が必要です。
築年数が長い建物で、アスベストに関する不安がある場合は、専門家に依頼してアスベストの使用状況を確認しましょう。
(画像は写真ACより)