耐火性や吸音性に優れる「石綿含有建築材料」アスベストが使用されていた製品にはさまざまなものがありますが、アスベストを含む製品の一つに「石綿含有建築材料」があります。

石綿含有建築材料は耐火性や吸音性に優れていたことから耐火材や保温材として使用されていたほかにも、内装材や外壁材としても使われました。

石綿含有建築材料の種類と性質について詳しくみていくことにしましょう。

石綿含有製品にはどのようなものがある?石綿含有製品は大きく分けると「吹付けアスベスト」、「耐火被覆板」、「成形板」がありますが、これらの製品はさらに細かく分けることができます。

石綿含有建築材料の主なものについて紹介します。

吹付けアスベスト吹付けアスベストとは、アスベストとセメントに水を加えて混ぜてつくった吹付け材で建材に吹き付けます。吹付けアスベストを使用することで壁や鉄骨など、建材の耐火性がアップするほか、吸音性も向上する効果があります。

吹付けロックウール吹付けロックウールとは、玄武岩や高炉スラグなどの鉱物を原料として、人工的に製造した鉱物繊維であるロックウールを吹き付けて使用するものです。

吹付けロックウールは断熱材としての効果のほかに吸音の効果もあり、効能としては吹付けアスベストと同様ですが、吹付けアスベストは1975年に使用禁止となったため、その代替品として利用されるようになりました。

耐火被覆板耐火被覆板とは耐火性能を有する建材のことで、鉄骨製の建築物のはりや柱、壁、天井に使用されます。

耐火被覆板にはけい酸カルシウム板第2種と石綿含有耐火被覆板があります。

けい酸カルシウム板第2種は石綿含有率が30%以下であるのに対し、石綿含有耐火被覆板は石綿含有率が高めで、製品によっては50%を超えるものもあります。

保温材天然の鉱物などにアスベストを混ぜてつくられた保温材で、珪藻土(けいそうど)保温材やけい酸カルシウム保温材などがあります。

石綿含有の保温材はボイラーやタービン、化学プラントなどの熱を発する部分や、ダクトやエルボなど、熱を運ぶ配管部分の保温に使用されていました。

断熱材アスベストを含む断熱材には屋根用折板石綿断熱材と煙突用石綿断熱材があります。いずれも使用目的は断熱ですが、屋根用の断熱材は断熱目的のほかに屋根の結露を防ぐためも使われます。

屋根用折板石綿断熱材と煙突用断熱材は石綿含有率が90%であり、含有率が非常に高いことが特徴です。

成形板アスベストを含む成形板は、壁や天井などの内装材や床材のほか、外装材や屋根材などに幅広く利用されています。耐火性や不燃性に優れているほか、吸音性も高い性質を持っています。

石綿含有率は10%前後、またはそれ以下であるものが多く、他の建材と比べると石綿の含有量は少なめです。

石綿含有率が高いのは吹付けアスベストや煙突用断熱材石綿含有率が高い建材としては吹付けアスベストがあります。

社団法人日本石綿協会(現・一般社団法人JATI協会)が2005年に作成した「石綿含有建築材料の商品名と製造時期」の資料を参考にすると、耐火用で使用する吹付けアスベストは石綿含有率が50~60%程度、吸音用として使用するものは60~70%となっています。

そのほか、石綿含有率が非常に高い製品としては屋根用折板石綿断熱材と煙突用断熱材があり、いずれも石綿含有率は90%程度に達します。

他のアスベスト製品の石綿含有率をみてみると、石綿含有の吹付けロックウールは5~10%前後、石綿成形板は10~20%前後であるほか、石綿含有の石膏ボードは1%前後に抑えられています。

参考:社団法人日本石綿協会 石綿含有建築材料の商品名と製造時期
https://www.kenpaikyo.or.jp/law/file/hourei_sonota_08.pdf

今後はアスベストを含む建物の解体が増えると予想されることから、建物のどのような部位にどんな石綿含有建築材料が含まれているかを理解しておくことで、建物解体時のアスベスト対策につなげられます。

(画像は写真ACより)

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