専門的な方法で行われるアスベストの濃度測定

アスベストは繊維状の物質で目に見えないほど小さいことから、正確に分析するためには専門的な方法で測定します。

アスベストの測定方法について記載されているマニュアルとしては環境省が公表している「アスベストモニタリングマニュアル」があります。

マニュアルに記載されている内容を理解し、アスベスト濃度の測定を正しく行いましょう。

アスベストモニタリングマニュアルとは

アスベストモニタリングマニュアルとは、大気中のアスベスト濃度の測定に関する技術的な指針が記載されているもので、1985年3月に作成されました。それ以降、1993年、2007年、2010年、2017年にマニュアルが改訂されています。

大気中のアスベスト濃度の測定方法は、アスベストが発生する箇所ではない「一般環境」とアスベストが発生する箇所、現状では「解体現場」のそれぞれによって異なります。

マニュアルが改訂された背景

マニュアルが改訂された背景としては、アスベストを取り巻く状況が変化していることにあります。

2004年10月以降は、クリソタイル(白石綿)を含むアスベスト製品の製造等が禁止されていますが、かつて、国内ではアスベストを含む製品の製造等が認められていました。

その当時、国内で使用されていたアスベストはクリソタイルが大部分を占めていたため、アスベストの測定においてはクリソタイルの繊維の本数を調べることが一般的でした。

しかしながら、アスベストの使用が禁止されてからは、アスベストの主な発生源は建物の解体現場となります。

建物で使用されている建材にはクリソタイル以外のアスベストも使用されているため、2010年の改定時にはアスベスト濃度が高いと判断される場合、クリソタイル以外のアスベスト繊維の本数も計測する方法が採用されました。

2017年に改訂された内容 アスベスト濃度の測定方法の見直し

2017年の改訂では、アスベスト濃度の測定方法が見直されています。

2010年のマニュアル改定以降問題になっていた内容としては、アスベスト濃度の測定を迅速化することでした。

建物の解体作業は早ければ数時間程度で終了してしまいます。建物の解体中にアスベスト濃度を測定しようとする場合、短時間の解体作業中に測定作業を行わなければなりません。そのため、アスベスト濃度の測定作業の迅速化が求められたのです。

2017年の改訂では、一般環境と解体現場におけるアスベスト濃度の測定方法が示されました。

一般環境においては、クリソタイル以外のアスベストを測定する方法として「位相差/偏光顕微鏡法」と「位相差/蛍光顕微鏡法」が示されています。

また、解体現場でアスベスト濃度を自動的かつリアルタイムで測定するため「粉じん相対濃度計」「パーティクルカウンター」「繊維状粒子自動測定器」の各機器を使用した測定方法が掲載されています。

解体現場においてアスベスト濃度を測定する場合、前室および集じん・排気設備を設置しているかどうかで測定場所が変わります。

前室および集じん・排気装置が設置されている現場では、前室の入り口部分と集じん・排気装置の排出口付近で測定し、設置されていない現場では作業を行っている場所の近くで測定します。

まとめ

かつてはアスベストを含む製品が工場で製造されていましたが、現在では製造が禁止されており、アスベストが発生する可能性のある場所は建物の解体現場となっています。

過去の状況と比較すると、アスベストを取り巻く環境は変化していますが、その変化に応じてマニュアルの内容も見直されてきました。

アスベストを原因とする健康被害の発生を防ぐためにも、マニュアルに基づいてアスベストの測定を行うことが原則となります。

(画像は写真ACより)

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