アスベストの使用が発覚したら、早急な対策を

所有している物件を貸し出ししている間にアスベストの使用が発覚した場合、アスベストの飛散防止対策を講じる必要があります。

しかし、その対策は物件の賃貸契約に基づいて行われるものであるため、必ずしも貸主の義務になるとは限りません。

ただし、物件の共有スペースのアスベスト対策は貸主に義務づけられています。

アスベストの早急な対策って?

アスベストの飛散防止対策

賃貸人がアスベストの飛散防止対策を行う条件とは?

物件の賃貸人に義務づけられているアスベストの飛散防止対策については、石綿障害予防規則10条の4に記載されています。

その内容とは、2以上のテナントが入居している物件の共有スペースにおいてアスベストの飛散防止対策を実施することです。この場合の共有スペースとは、廊下や階段など物件の利用者が共同で使用する場所を指します。

なお、上記の規則からは、物件の賃貸人は共有スペース以外のアスベスト飛散防止対策を行わなくても良いようにも読み取れます。

ただし、原則としてアスベスト対策を行わなければならないのは物件の所有者となります。そのため、物件を所有して貸し出ししている場合は対策を講じなければなりません。

それにもかかわらず、上記の規則において賃貸人がアスベストの飛散防止対策を行う範囲を物件の共有スペースにとどめている理由は、賃貸借契約の問題が関係するためです。

仮に、賃貸借契約において「アスベストの除去作業はテナントが行う」という内容が記載されている場合、賃貸借契約に基づいて除去作業はテナントが行うことになり、貸主は行わない形となります。

そのため、上記の規則においては、賃貸人のアスベスト除去作業を義務づけているのは共有スペースにとどめており、物件全体のアスベスト除去に関しては義務づけていない形をとっているのです。

参考:石綿障害予防規則

飛散防止対策の具体的方法

アスベストの飛散防止対策、具体的な方法は?

アスベストの飛散が予想される場合、物件を所有している場合は原則としてアスベストの飛散防止対策を講じなければなりません。

飛散防止対策の具体的な方法としては、アスベストが使用されている材料を除去すること、または、アスベストを飛散させないようにするため封じ込めや囲い込みを行うことです。

除去とはアスベストが使用されている材料そのものを取り除き、アスベストが使用されていない建材等に交換することを指します。

この作業を実施した後はアスベストが飛散する心配がなくなりますが、除去作業中にアスベストが飛散する可能性があるため、専門家に相談のうえ、無用に飛散することのないよう慎重に除去作業を進めていく必要があります。

封じ込めと囲い込みは、アスベストを除去しなくても飛散を防げる点では共通していますが、封じ込めは固化剤を使用し、塗膜を形成したうえで飛散を防ぐのに対し、囲い込みはアスベストが使用されている建材等の外側に、アスベストが未使用の建材で囲んで飛散を防ぐ方法となります。

封じ込めと囲い込みを行うことでアスベストの飛散を防げますが、建材等の内部にはアスベストが含まれていることから、これらの処理を行った場合は、処理した記録を残しておきます。

それにより、万が一その建材が破損した場合、アスベストの封じ込めや囲い込みが行われている箇所と分かれば、その箇所を迅速に補修することができます。

さらに、建物を解体する場合にアスベストが含まれている建材等の場所を特定できるため、解体時におけるアスベストの健康被害を防ぐことが可能となります。

貸し出ししている物件においてアスベストの使用が発覚した場合、物件の利用者がその物件を安心して使用できるようにするためにも、即座に飛散防止対策を行わなければなりません。

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