法律を守って労働者の安全確保を!労働安全衛生法とは、その名称の通り労働者の安全を確保し、労働環境の衛生状態を良好に保つことを目的とした法律です。

同法が取り扱う範囲は幅広い業務内容にわたっており、アスベストに関する内容についても定められています。アスベスト関連の条文の内容を理解し、同法を守り、アスベスト関連の作業に従事する作業員の安全確保に努めましょう。

第55条でアスベストの製造・使用禁止を規定労働安全衛生法においてアスベストに関連した内容が記載されているのは、第55条と第88条3項です。

第55条には以下のように記載されています。

黄りんマツチ、ベンジジン、ベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずる物で、政令で定めるものは、製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用してはならない。ただし、試験研究のため製造し、輸入し、又は使用する場合で、政令で定める要件に該当するときは、この限りでない。
(引用:労働安全衛生法)

上記の条文には、アスベストまたは石綿という名称は記載されていませんが、「労働者に重度の健康障害を生ずる物」の中にアスベストが含まれています。

労働安全衛生法施行令第16条には、労働安全衛生法第55条の「政令で定めるもの」が載っており、同条の4号に「石綿」と記載されています。そのため、現在では石綿の使用は一切禁止となっているのです。

さらに、同条の9号の内容を要約すると、製品の重量に対し、アスベストの重量が0.1%を超えるものが禁止の対象になることが記載されています。

アスベストの含有率が0.1%を超える製品の製造が禁止となったのは2006年のことですが、それ以前はアスベストの含有率がもっと多いものも認められていました。

1975年まではアスベストの含有率に対する規制はありませんでしたが、同年10月以降はアスベストの含有率が5%を超えるものが禁止され、1995年からは含有率が1%を超えるものが禁止されました。

アスベストの規制は年を追うごとに強化されてきた形といえますが、これはアスベストから作業員を守るという観点からみると必然的なことといえます。

第88条でアスベスト除去工事の計画書作成を規定労働安全衛生法の第88条第3項には以下の内容が記載されています。

事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあっては、前項の厚生労働省令で定める仕事を除く。)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の十四日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
引用:労働安全衛生法

上記の条文に「厚生労働省令で定めるもの」という内容がありますが、労働安全衛生規則の第90条5号の2に「石綿等が吹き付けられているものにおける石綿等の除去の作業を行う仕事」と記載されています。

吹付けアスベストはレベル1のアスベストですが、吹付けアスベストの除去作業を行う場合には、法律に基づいて作業開始の14日前までに工事計画書を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。

届け出する場合には、工事計画書のほかに工事計画書や工事概要、事前調査方法など工事に関連する各種の資料を添付します。

アスベストの除去作業を行う場合、工事計画書を提出するのはレベル1の作業のみとなります。その理由は、レベル1のアスベストは特に飛散しやすく、綿密な計画を立てたうえで、その計画を確実に実行しなければならないためです。

アスベストの除去作業において工事計画書を作成することは、作業員の安全を確保するためには必要なことといえるでしょう。

労働安全衛生法に規定されたアスベスト関連の条文は、作業員の安全を守るために策定されたものです。作業員にとって働きやすい環境を維持していくためにも、法律は確実に守りましょう。

(画像は写真ACより)

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