アスベストの侵入を完全に防ぐ保護衣を着用しよう

アスベストは目で見ることができないほど非常に細かい繊維であり、しかも肺に入り込むことで健康被害が生じてしまいます。

そのため、アスベストに関する作業を行う場合はアスベストを通さない素材を使用して完全に防護する必要があります。

作業時に着用する保護衣に関しては法律で定められていますので、着用できる保護衣の条件についてみていくことにしましょう。

アスベスト曝露防止対策では密閉性の高い防護服を着用

アスベストの曝露防止に使用する作業衣は、厚生労働省が2014年9月に通達した「石綿粉じんのばく露防止のための適正な保護衣の使用について」において、日本産業規格(JIS規格)「JIS T 8115」の「浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)」と同等品以上のものであることと定めています。

JIS T 8115とは化学防護服に対するJIS規格のことで、化学防護服の種類には気密服、密閉服、部分化学防護服の3種類がありますが、アスベスト対策では密閉服を使用します。

また、密閉服はタイプ2からタイプ6まで5種類がありますが、アスベスト対策に対応するものはタイプ5の密閉服となります。

タイプ5の密閉服の特徴は、粉じんが防護服の内側に入ることのないように、上下の服が一体化したものとなっていること、そして、服と手袋の間や服と靴の間のように、若干のすき間が生じる部分もしっかりと密閉される形となっています。

各作業レベルにおいて使用する保護衣の種類は?

アスベスト除去作業を行う場合に着用する保護衣の内容としては、原則として全ての作業レベルにおいて保護衣、シューズカバー、手袋を着用します。

なお、保護衣は上下の服が一体化していて全身を覆えるタイプのものを使用し、頭部を守るためにフードもかぶります。

なお、アスベストを含む成形板などを取り扱う作業にあたる作業レベル3で、解体作業を手ばらしで行う場合に限り、保護衣以外にも粉じんが付着しにくい作業着の着用も認められています。

その理由としては、作業レベル1や2と比較するとアスベストが飛散しにくい状態であるためです。

ただし、作業レベル3であっても機械を用いて解体作業を行う場合には粉じんの飛散量が多くなる場合があるため、作業着を着用せず、作業レベル1と2と同様に保護衣、シューズカバー、手袋を着用してアスベストの付着を防ぎます。

なお、保護衣を着用せず作業着のみでアスベストを取り扱える基準値としては、気中の石綿繊維濃度(平均濃度)が1cm3あたり0.15本以下となります。この数値はアスベストの管理濃度を下回っている状態です。

保護衣が持つ特徴は?

アスベストに関する作業を行う場合に着用する保護衣の特徴としては、アスベストのような細かい粒子が衣服の内部に侵入しにくいことです。

アスベストの種類は6種類ありますが、いずれも非常に細かい繊維であり肉眼では見ることができません。アスベストの中でも特に細かいのはクリソタイル(白石綿)でその直径は0.02~0.08マイクロメートル(1マイクロメートルは0.001mm)です。

デュポン社が発売しているタイベック(R)ソフトウェアを例にあげてみると、保護衣の表面は細かい繊維が何重にもわたって重なっているため、アスベストのような非常に細かい繊維であっても保護衣の内部には通さない状態となっています。

さらに、高品質の製品は縫い目の部分にテープが接着してあり、より密閉性が高めてあります。

アスベストの曝露によって健康被害を受ける可能性が高くなりますが、アスベスト作業における基準を満たした保護衣を着用することで安全性を維持しながら作業が行えます。

(画像は写真ACより)

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