建築物石綿含有建材調査者は2020年7月より、規程が変更されました。

建築物の解体の際に、石綿含有建材が使用されているかどうか調査を行う必要があり、その調査者に必要な資格として「建築物石綿含有建材調査者」があります。(令和5年10月より、建築物の事前調査を行う者の資格要件が義務化されますが、現行においても、国の通知により、石綿に関する一定の知見を有し的確な判断ができる者が行うこととされています)

石綿(アスベスト)を使用した建物の解体工事による排出を抑制するため、対象建材の拡大や、罰則の拡大等が行われているため、

建築物石綿含有建材調査者の有資格者の需要は益々拡大していくと見られています。

建築物石綿含有建材調査者とは?

建築物石綿含有建材調査者の職務は、建物にアスベストが含まれているかどうかを調査することです。

過去、とりわけ1970年代から1990年代にはアスベストを使用した建物が多数建築されましたが、それらの建築物は今後老朽化が進むために解体される機会が多くなります。

それにともなって、建物を解体するときにアスベストが飛散する可能性が高まり、作業者を中心としてアスベストの健康被害が生じることも考えられます。

厚生労働省が2014年に公表した「建築物石綿含有建材調査マニュアル」によると、2014年の時点でアスベストを含む可能性のある建物は約280万棟と推計されており、それらの建物の解体がピークとなるのは2028年前後とみられています。

参考:厚生労働省 建築物石綿含有建材調査マニュアル
http://www.mlit.go.jp/common/001064663.pdf

建物にアスベストが含まれているかどうかを調べるためには専門的な知識が求められるほか、調査において正確性を重視するために精密な作業が求められます。

アスベストによる健康被害を防ぐためにも、建物にアスベストが含まれているかどうかを正確に判断する調査者が求められています。

建築物石綿含有建材調査者は特定/一般/一戸建ての3分類に変更

建築物石綿含有建材調査者には3つのコースがあります。下図は厚生労働省が発表した「建築物石綿含有建材調査者講習登録制度の一部改正について」の資料です。
1つは「一戸建て等石綿含有建材調査者」で、その名の通り、一戸建て住宅等に係る全ての材料に対する事前調査を行うことを想定されて新設された資格です。7時間の講義と筆記試験で取得可能とされています。
2つめは「一般建築物石綿含有建材調査者(改正前の建築物石綿含有建材調査者)」で、11時間の講義と筆記試験で取得可能で、石綿作業主任者技能講習を修了している方であれば、実務経験の有無は問われず、受験することが可能です。
3つめの「特定建築物石綿含有建材調査者」は、座学のほかに実地研修も行います。一般建築物石綿含有建材調査者で、一定の実務経験がなければ、受験資格はありません。

一般・特定の講義とも、以下の内容を学びます。

第1講座 建築物石綿含有建材調査に関する基礎知識
第2講座 石綿含有建材の建築図面調査
第3講座 現場調査の実際と留意点
第4講座 建築物石綿含有建材調査報告書の作成
第5講座 成形板等の調査
(引用:国土交通省 
建築物石綿含有建材調査者制度等について)

上記の内容を学ぶことによって、アスベストに関する法令やリスク、建物の構造や建材に関する基礎的な知識、解体作業前に実施する事前調査の内容を理解することができます。

また「特定コース」においては、上記の講義に加えて実際の建物を使用して調査の方法を習得します。

「建築物石綿含有建材調査者コース」は講義と修了試験を含めて3日間にわたって実施され、「特定建築物石綿含有建材調査者コース」は講義、実地、修了試験を含めて5日間にわたって実施されます。

いずれのコースとも、試験に合格することで修了証明書が交付されます。

(上記画像は厚生労働省HPより)

受講資格について

建築物石綿含有建材調査者の受講資格を得るためには、学歴、または職歴に応じて一定期間の実務経験年数を経る必要があります。

学歴不問でも講習の受講は可能ではありますが、その場合は実務経験年数が11年以上必要となります。

また、学歴によって実務経験年数は変わりますが、実務経験年数が最も短いのは、大学で建築に関する課程を修めて修了した場合で実務経験年数は2年以上です。

なお、石綿作業主任者技能講習を修了した人など、一定の資格の所有者や職務の経験者に関しては実務経験がなくても受講資格が得られます。受講資格の詳細については、日本環境衛生センターのホームページを参照してください。

参考:日本環境衛生センター 建築物石綿含有建材調査者講習
https://www.jesc.or.jp/training/tabid/129/Default.aspx

建築物石綿含有建材調査者は専門性が求められる資格であり、講習期間は内容によって2~3日に及びますが、、建築物に使用されている石綿に起因して発生する健康被害及び健康障害を未然に防止するため、建築物に使用されている石綿含有建材の使用実態について、中立かつ公正に専門的な調査を行うことができる調査者の必要性は増すばかりで、取得の価値は大いにあると思います。

(画像は写真ACより)

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