アスベストの飛散を防ぐ通路が「セキュリティゾーン」
アスベストを含む建物の解体作業を行う場合、アスベストの飛散を防ぐために作業スペースを隔離しなければなりません。

しかし、作業場に出入りしたり、機材や廃棄物の搬出入を行ったりするためには、作業場への通路を確保する必要があります。

アスベストの飛散を防ぎつつ、作業場への通路を確保するために設けられるのが「セキュリティゾーン」です。

セキュリティゾーンとは?
セキュリティゾーンとは、アスベストを含む建材の解体作業のために隔離しているスペースと外部の間に設けられているスペースのことです。

このスペースを通って作業員が出入りをしたり、各種の機材や廃棄物の搬出入を行ったりします。

セキュリティゾーンを設置する目的は、アスベスト関連の解体作業を行っている空間からアスベストが飛散することを防ぐためです。

本来、アスベスト関連の解体作業を行っている空間は、プラスチックシートで隔離したり、窓や換気口などは目張りを行ったりするなどして厳重な隔離作業が求められますが、最低限として通路を確保する必要があります。

しかし、通路を確保することにより解体作業を行っている空間からアスベストが飛散する可能性が高まります。その可能性をできる限り下げるためにセキュリティゾーンが設けられているのです。

セキュリティゾーンの構造
セキュリティゾーンは外部から作業場に向かって「更衣室」、「洗身室」、「前室」の順に配置されています。各室の間は隔離シートで隔離される形となり、通路の部分はカーテン式となります。

作業場から退出する場合は、「前室」、「洗身室」、「更衣室」の順に通っていきます。ここでは、作業場から退出するときの順序で各室の説明していきます。

前室

前室は、作業が終了した後に保護衣や作業用手袋、シューズ用カバーなど作業用の装備を外す場所です。また、前室には足拭きマットが設置されています。

作業用の装備を外した後は、これらの装備を全て廃棄し、作業着とマスクの状態で洗身室へと向かいます。

洗身室

洗身室とは、作業場から退出したときに身体をエアシャワーで洗う場所のことです。

作業場から退出して洗身室に入る時点では作業用装備を外しており、作業着とマスクの状態となりますが、その状態でエアシャワーを30秒以上浴び、作業着とマスクに付着しているアスベストの粉じんを除去します。

エアシャワーを十分に浴びたら更衣室へと向かいます。

更衣室

更衣室とは、作業場に入る前に保護衣やマスク、作業用手袋、シューズ用カバーなどを着用するためのスペースです。また、作業が終了した後にマスクを外すのは更衣室となります。

更衣室には更衣ロッカーが設置されているほか、うがい用の水、マスクを洗浄するための水、または濡れたぞうきん、マスクフィルター廃棄用ふた付き容器などを装備しておきます。

マスクの本体は使い回しとなり、フィルターのみが使い捨てとなります。マスクに付着したアスベストの粉じんは洗身室で除去しますが、アスベストの粉じんは全て除去されていない可能性もあることから、水を使ってマスクを洗浄します。

さらに、体内にアスベストが侵入することを防ぐため、更衣室内でうがいができるようになっています。

アスベストの粉じんを除去するための作業が全て終了した時点でセキュリティゾーンの外側に出られます。

アスベスト関連の作業においてアスベストの飛散を防ぐために、セキュリティゾーンは高い効果を発揮します。

セキュリティゾーン内の各室では、飛散を防ぐために行うことが定められているので、定められている内容を守り、アスベストの飛散と健康被害の防止に努めましょう。

(画像は写真ACより)

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