アスベスト調査は費用をかけた分の価値あり

賃貸不動産を所有していて、物件の貸し出しを検討している場合、所有者としては「いかに借り主に満足してもらうか」ということを考える必要があります。

そこで検討しておきたいのがアスベスト調査です。実際に調査を行うと費用がかかってしまいますが、調査を行うことでさまざまなメリットが得られます。物件の価値を高めるためにも、アスベスト調査は実施しておきましょう。

重要事項説明書に記載できる

アスベスト調査を実施するメリットは、重要事項説明書にアスベスト調査を実施したことを記載できる点です。

重要事項説明書とは、建物の売買契約や賃貸契約を行う場合に、買い主や売り主に対して、契約するにあたって重要な事柄を説明するための書類です。

重要事項説明の内容として主なものをあげると、所有者の氏名、水道・ガス・電気設備の状況や排水設備の状況、建物が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域内にあるかどうかの説明、耐震診断の実施の有無、アスベスト調査の実施の有無などが含まれます。

アスベスト調査に関しては、重要事項説明書に「アスベストの調査を行ったかどうか」を記載することが義務づけられています。

なお、物件の所有者がアスベスト調査を行うかどうかは任意であるため、アスベストの調査義務はありません。

アスベストの使用状況に関する調査を行っていない場合は、重要事項説明書にアスベスト調査を行っていない旨を記載します。

借り主が安心して物件を借りられる

また、重要事項説明書にアスベスト調査を実施した旨を記載しておくことで、物件の借り受けを検討している人は参考にすることができます。

アスベスト調査を実施した場合は、調査記録の内容を説明します。調査記録に記載される内容は以下の通りです。

・調査の実施機関
・調査の範囲
・調査方法
・調査の年月日
・アスベスト使用の有無
・アスベストの使用箇所

調査記録には、アスベスト使用の有無のほか、アスベストの使用箇所についても記載されます。

なお、物件にアスベストが使用されていた場合、必ずしも有害性があるとは限らず、日常生活を行ううえでは問題がない場合があります。

例えば、アスベストを含む建材である成形板は建材の内部にアスベストが含まれている形であるため、通常はアスベストが飛散する心配はありません。

ただし、建物の解体作業を行う場合はアスベストが飛散する可能性があるため、解体時にはアスベストの飛散防止対策を行う必要があります。

不動産価値が上がる

アスベスト調査の内容によっては不動産価値が上がる場合があります。

アスベストは目に見えないほど小さな物質であるため、アスベストが飛散しているかどうかを見分けることはできません。

その点、アスベスト調査で「アスベストは使用されていない」という結果が出れば、アスベストが飛散しているかどうかと悩む必要はなくなり、建物の中で安心して過ごすことができます。

物件が安全な状態であればその価値は高まるため、予定よりも家賃をやや高めに設定することも可能となります。

解体時に調査結果を利用できる

アスベスト調査の結果は建物を解体する場合にも活用できます。

アスベスト調査を行ったときに記録した内容には「アスベスト使用の有無」と「アスベストの使用箇所」が記載されています。

建物にアスベストが含まれている場合、どこにアスベストが使用されているかが明確にわかるため、建物の解体作業を効率的に行うことができます。

アスベスト調査が行われていなければ、建物の解体工事において気がつかないうちにアスベストが飛散してしまうことも考えられますが、調査結果が示されていれば解体作業を安全に行えます。

アスベスト調査を行うことによって、借り主からの信頼を得られるのはもちろんのこと、解体作業を安全に進められる点がメリットです。

アスベスト調査に費用がかかったとしても、家賃をやや高めに設定したり、解体作業の効率化で工事費用を抑えたりすることによって、調査費用の回収も可能となります。

(画像は写真ACより)

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