アスベストのばく露対策と同様、作業事故も対策を

アスベスト関連の除去作業においては、アスベストのばく露による健康被害をいかに防ぐか、という点を重点に置きがちですが、作業中になんらかの事故が発生してしまうとその対応に追われてしまいます。

アスベストの除去作業においてはどのような事故が起こり得るでしょうか。想定される事故を事前に予測し、労災事故を防ぎましょう。

熱中症

アスベスト除去作業中に起こり得る事故として「熱中症」があります。

近年は夏になると猛暑に見舞われることが多くなりましたが、アスベスト除去作業においては、作業場を隔離シートで隔離するために暑い空気がこもりがちです。

それに加えて、保護衣とマスクを着用して全身を保護しなければならないため、作業中の暑さは大変なものとなります。

非常に暑い状況の中で作業を行いつづけると熱中症の可能性が高まります。特に、アスベスト除去作業では全面形のマスクを着用していることから水分や塩分を補給することが難しい状態となってしまいます。

熱中症の対策としては「クールベスト」の着用があげられます。クールベストには保冷剤を入れられるスペースが設けられており、保冷剤を入れることで作業場内の温度が高温になっても暑さを和らげることができます。

また、アスベストの除去作業の効率性を高める方法として、作業員を2組に分け、一定の時間ごとに交代しながら作業を進めることも熱中症対策として役立ちます。

特に暑い時期は30分ごとに交代しながら作業を進めるなどして熱中症を防ぎましょう。

感電事故

また、アスベスト除去作業中に起こり得る事故として「感電」があげられます。

アスベストの除去作業中においては、建物内に入居者がいる状態で作業を行わなければならないことがあるため、通電されている中での作業となる場合があります。

吹き付けアスベストやアスベストを使用した断熱材は建物の内部で使用されていることもあります。建物内には電線が通っている場合があり、状況によっては電線に接触することで感電してしまう可能性も考えられます。

アスベストに関する作業中の感電を防ぐ対策として、感電の可能性がある場所では湿潤化を行わないことがあげられます。乾燥している状態と湿っている状態を比べた場合、電気を通しやすいのは湿っている状態となります。

そのため、湿潤化によって感電する可能性が高まることから、感電の可能性がある場合は湿潤化を行わないでアスベストの除去作業を行います。

墜落事故

そのほか、アスベスト除去作業中に起こり得る事故としてあげられるのは「墜落事故」です。

アスベストの除去作業は建物の高い部分も行わなければならない場合があるため、足場の上で作業を行うことがあります。

通常、高所に設置される足場には落下防止のために手すりが設けられていますが、作業中や歩行中の不注意などが原因で落下してしまうこともある得るのです。

また、床面から2m以上の高さに足場を設置する場合には手すりを設置する義務がありますが、2m以下の場所に設置する場合は手すりの設置義務はありません。

しかし、床面から2m以下の高さにある足場であっても、落下の仕方によってはけがをしてしまうことも十分にあり得ます。

墜落事故を防ぐためには、高所作業時にヘルメットを着用することが効果的となります。なぜなら、落下したときに特にダメージを受けやすい身体の部位は「頭」であるためです。

見方を変えれば、頭部を守っておくことによってけがの度合いを少しでも軽減することが可能となります。

足場を設置する場合は労働安全衛生規則に基づき、安全性が確保された状態で設置することも落下事故の防止につながります。

アスベストの除去作業における事故を防ぐためには、作業者自身が事故防止に努めることが大切ですが、事故が発生しないための対策を講じておき、事故の発生確率をできる限り下げておくことが最も有効な対策となります。

(画像は写真ACより)

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