作業レベルによって必要な届け出の内容は異なる

アスベストを含む建物の解体工事を行う場合、アスベストが飛散してしまうと健康被害の発生が懸念されるほか、環境汚染の原因にもつながってしまいます。

そのため、アスベストを含む建物を解体する前には作業内容に応じて届け出が義務づけられています。なお、届け出の種類は3種類です。届け出に関する具体的な内容についてみていくことにしましょう。

工事計画届

工事計画届とは労働安全衛生法第88条4項において届け出が義務づけられているもので、その計画内容は工事開始の14日前までに労働基準監督署長に届け出る必要があります。

工事計画届は、危険を伴う作業を円滑に進めることを目的として提出されるもので、労働基準監督署がその作業内容を事前に審査します。なお、作業内容に不備がある場合には作成した計画を修正して再度提出しなければなりません。

なお、アスベストが含まれている建物を解体する場合に提出する工事計画届は、耐火建築物または準耐火建築物に吹き付けられているアスベストを除去する場合に届け出るものであるため、届け出が必要となるのは作業レベル1の場合のみとなります。

特定粉じん排出等作業届出書

特定粉じん排出等作業届出書とは大気汚染防止法第18条の15において届け出が義務づけられているもので、作業開始の14日前までに都道府県知事に届け出る必要があります。

特定粉じん排出等作業届出書はアスベストの除去、封じ込め、囲い込みの作業が発生する場合に届け出をします。そのため、レベル1とレベル2の作業の両方で届け出をしなければなりません。

建築物解体等作業届

建築物解体等作業届は石綿障害予防規則第5条において届け出が義務づけられているもので、作業日前までに労働基準監督署長に提出します。

建築物解体等作業届は耐火建築物または準耐火建築物以外に使用されているアスベストを除去する場合に届け出を行うものであるため、レベル1とレベル2の作業の両方で届け出をする必要があります。

作業レベル1で必要な計画届

アスベストの作業レベル1で使用される建材にはアスベストを含む吹き付け材などがありますが、これらは特に飛散しやすい性質を持っています。

環境汚染や健康被害を防ぐことを目的として、レベル1の作業を行う前には3種類の届け出を行わなければなりません。

作業レベル1において必要な届け出は以下の通りです。
・工事計画届
・特定粉じん排出等作業届出書
・建築物解体等作業届

作業レベル2で必要な計画届

アスベストの作業レベル2で使用される建材には、アスベストを含む保温材や耐火被覆材、断熱材などが当てはまります。これらは、レベル1のものほど飛散はしないものの、一定量の飛散が発生するため、作業を行う前には届け出が必要です。

作業レベル2において必要な届け出は以下の通りとなります。
・特定粉じん排出等作業届出書
・建築物解体等作業届

作業レベル2においては吹き付けアスベストの除去作業を行う必要がないため、工事計画届の提出は不要です。

作業レベル3は届け出が不要

アスベストの作業レベル3で使用される建材には、アスベストを含む整形板など、アスベストを含む建材が当てはまります。これらは建材の内側にアスベストが含まれており、飛散しにくい状態であることから、工事前に届け出を行う必要はありません。

ただし、解体工事を行う前に事前調査を行いその結果を30年間保存すること、また、作業計画を作成して労働者に周知することは必要となります。

事前調査の実施、調査結果の保存、作業計画の作成と周知は作業レベル1とレベル2でも行わなければなりません。

アスベストを含む建物を解体する場合、計画届、作業届の提出先は都道府県、もしくは労基署となります。都道府県にはアスベストの排出に関する書類を提出し、労基署には工事に関係する書類を提出します。

アスベストを含む建材の解体を安全かつスムーズに進めていくためにも、届け出が義務づけられている書類は確実に提出しましょう。

(画像は写真ACより)

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