アスベストが肺に入ると肺の病気を引き起こす可能性アスベストとは繊維状に変形した鉱物であり、耐熱性や保温性などに優れていることから建材をはじめとしてさまざまな製品に利用されてきました。
アスベストは目に見えないほど小さく、その粉じんは空気中を舞うことがありますが、肺に入り込むと肺がんなど肺の病気を引き起こすことがあります。
現在ではアスベストの製造は禁止されているものの、過去に建てられた建物にはアスベストが含まれていることからアスベストによる健康被害を心配する人がいるかもしれません。日常生活でアスベスト曝露の可能性はあるのでしょうか。
日常生活ではアスベスト曝露の可能性は低い結論から述べると、日常生活においてアスベスト曝露する可能性は低いといえます。
その理由は、アスベスト曝露とは周囲にアスベストの粉じんが飛散していて、その粉じんを吸い込む可能性がある場合にのみ起こるものであり、周囲にアスベストの粉じんが飛散していなければアスベスト曝露は起こらないからです。
冒頭で、過去に建てられた建物にはアスベストが使用されているという内容について説明しました。
住宅向けとして使用される建材のうち、アスベストが含まれるものとしては、壁や天井などの内装材、あるいは外壁材などがあり、これらの建材を総称して「アスベスト成形板」と呼びます。
アスベスト成形板は、アスベストが建材の内部に含まれており、通常の状態であればアスベストの粉じんが飛散することはありません。
過去に建てられた建物で建材にアスベストが含まれていた場合、アスベストが飛散しないかどうか気になってしまうこともあるでしょう。
しかし、住宅を通常通りに使用していれば、建材からアスベストが飛散することはないため、住宅に住みながらアスベスト曝露する可能性は非常に低いといえるのです。
災害で壊れた建物の近くはアスベストの飛散に注意アスベストを含む建材からアスベストが飛散する可能性がある場合は、建材が古くなるなどして破損、または解体工事で建材を破砕したときです。
なお、解体工事においてはアスベストが飛散しないための対策を講じることから、通常は解体工事においてアスベストが飛散する可能性は低くなっています。
むしろ、アスベストの建材からアスベストが飛散する可能性があるのは、建物が洪水や地震などの災害で倒壊した場合です。
甚大な災害が発生した場合には建物が倒壊することがあり、それによって、建材の内部がむき出しの状態となりますが、そこからアスベストが飛散する可能性があります。
災害で建物が倒壊している場合は、その周辺にアスベストが飛散している可能性があるため極力近寄らないことが原則です。
なお、倒壊した建物を片付けるために、倒壊した現場に立ち入って建材を運ぶ場合がありますが、古い建物ほどアスベストが使用されている可能性があるため、建材の撤去作業を行う場合は防じんマスクを着用し、アスベストが体内に入り込まないようにします。
また、アスベストは水に濡れると飛散しない性質を持つことから、建材を片付ける前にその周囲を散水して対策することも一つの方法となります。
アスベストという言葉を聞くと、肺の病気にかかることを連想しやすくなるために、不安に感じてしまうことがありますが、日常生活においては、アスベスト曝露する可能性は非常に低いといえますので、心配する必要はありません。
なお、住宅の建材が古くなって破損が発生している場合は、その建材にアスベストが使用されているかどうかを調べたうえで、アスベストが使用されていることが分かった場合には、自治体に相談するなどして、早めに対策を講じておきましょう。
(画像は写真ACより)