作業レベルに応じた呼吸用保護具とは?

アスベストを含む建物の解体など、アスベストが飛散する恐れのある場所で作業をする場合は、作業衣のほかに呼吸用保護具も装着しなければなりません。

呼吸用保護具は作業レベルに応じて適切なものを選ぶ必要があります。それぞれの作業において最適な呼吸用保護具の選び方を理解しておきましょう。

主に作業レベル1で使用するマスク

作業レベル1とはアスベストが吹き付けられた建材の除去作業など、アスベストの飛散量が多くなる作業のことです。

作業レベル1で使用されるマスクとしては以下のものがあります。
・送気マスク
・電動ファン付き呼吸用保護具

送気マスクとは、有毒ガスや粒子状の物質を吸入する可能性がある場合や酸素が少ない空気を吸い込む可能性がある場合に使用されるマスクのことで、給気式となっています。

送気マスクには以下の種類があります
・プレッシャデマンド式エアラインマスク
・一定流量形エアラインマスク
・ホースマスク

エアラインマスクとは、マスクと空気ボンベまたはコンプレッサーとつながっていて新鮮な空気が供給されるものです。そのため、アスベストを含む空気を吸い込む心配がありません。

エアラインマスクには、プレッシャデマンド形エアラインマスクと一定流量型エアラインマスクがあります。

プレッシャデマンドとは、外部よりも内部の気圧が高い「陽圧」の状態を指しますが、プレッシャデマンド型エアラインマスクはマスク内部の気圧が高いため、外部の空気が入りにくい性質を持っています。そのため、アスベストを含む空気の侵入を防げるのです。

また、プレッシャデマンド形エアラインマスクには「複合型」もあります。複合形とは空気ボンベのほかに携行型の空気ボンベからも空気の供給を受けられるタイプです。

そのため、空気ボンベから空気の供給を受けられなくなった場合に、携行型の空気ボンベから空気の供給を受けられる仕組みとなっており、緊急時でも使用できます。

一定流量型エアラインマスクとは、空気の供給量を一定にできるタイプのもので、空気の流量はエアコックで調整します。

ホースマスクとは、自然の中に存在する新鮮な空気を使用するタイプのものです。マスクとホースが一体化しており、ホースの先の部分にはマスクの中に空気を送り込む送風機が設置されています。

電動ファン付き呼吸用保護具とは濾過式の呼吸用保護具で、アスベストの飛散物をフィルターで濾過し、電動ファンを使って送風するタイプのものです。

レベル1で使用する呼吸用保護具は以下の通りとなりますが、上に並んでいるものほど気中の石綿繊維濃度が高い場所で使用します。
・プレッシャデマンド形複合式エアラインマスク
・プレッシャデマンド形エアラインマスク
・電動ファン付き呼吸用保護具、またはその他の送気マスク

主に作業レベル2で使用するマスク

作業レベル2とはアスベストを含む断熱材や保温材など、アスベストが飛散しやすい製品を除去する場合に行われる作業のことです。

主に作業レベル2で使用されるものとしては、作業レベル1で使用されるマスクのほかに以下のものがあります。
・全面形取替え式防じんマスク 粒子捕集効率99.9%以上
・半面型取替え式防じんマスク 粒子捕獲効率99.9%以上

全面形のマスクとは、顔面を完全に覆うタイプのマスクを指し、半面型のマスクとは鼻と口を覆うタイプのマスクを指します。

全面形のマスクは建材の切断、穴開け、研磨の作業を伴う場合に使用し、半面型のマスクはそれらの作業を伴わない場合に使用します。

主に作業レベル3で使用するマスク

作業レベル3とは、アスベスト成形板などアスベストを含む建材の除去作業を指します。

主に作業レベル3で使用するマスクとしては、作業レベル1と2で使用されるマスクのほかに以下のものがあります。
・半面型取替え式防じんマスク 粒子捕獲効率95.0%以上

作業レベル3は、作業レベル1や2と比べるとアスベストの飛散が少ないことから粒子捕獲効率が若干ながら低いマスクも使用できます。

ただし、建材の切断や穴開け、研磨の作業が発生する場合には、半面型取替え式防じんマスクのうち粒子捕集効率が99.9%のものを使用します。

アスベスト関連の作業で使用する呼吸用保護具にはさまざまな種類のものがあります。作業レベルに応じて適切な呼吸用保護具を使用し、安心して除去作業ができる環境を構築しましょう。

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