処理方法は「埋め立て処分」と「溶融処理」

アスベストを含む建物の解体作業などで生じたアスベスト廃棄物は処理施設へと排出されますが、処理の方法を大きく分けると「埋め立て処分」と「溶融処理」の2種類となります。

アスベストの除去に関する作業を行う場合は、アスベスト廃棄物の適切な処分方法についても理解しておき、アスベスト被害の発生を防ぎましょう。

アスベスト廃棄物は「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物」に分類

アスベストの処分方法についてみていく前に、アスベスト廃棄物の種類について確認しておきましょう。

アスベスト廃棄物は「廃石綿等」と「石綿含有廃棄物」に分けられます。「廃石綿等」とは飛散性が高いアスベスト廃棄物のことです。吹き付けアスベスト、アスベストを含む保温材、耐火被覆材などの廃棄物が当てはまります。

「石綿含有廃棄物」とは飛散性が低いアスベスト廃棄物のことで、アスベスト成形板や石綿スレート板などがあります。

「廃石綿等」はアスベスト廃棄物が飛散する可能性があるために「特別管理産業廃棄物」に指定されています。なお「石綿含有廃棄物」はアスベストが飛散しないために通常の産業廃棄物として処理されます。

飛散防止処理を行ったうえで「埋め立て処分」

埋め立て処分とは、アスベスト廃棄物を埋め立てて処分する方法のことです。

埋め立てをする場合は、耐水性の材質を使用した袋などを使用して二重に梱包するか、セメントで固めてアスベストが飛散しない状態にします。

埋め立て処分をする場合には「管理型最終処分場」に処分します。この処分場では、汚染された水分が生じる廃棄物や有害なガスが生じる廃棄物などを処理できるため、有害な物質を適切に管理しながら環境汚染を防ぐことが可能です。

アスベスト廃棄物を処分場に廃棄する場合は、処分場内の一定の場所にまとめておきます。これによって、アスベスト廃棄物を廃棄した場所を特定できるため、廃棄物の管理を容易に行えます。

なお、アスベスト廃棄物を海に投げ入れて処分することは認められていません。指定された産業廃棄物の処分場に廃棄することが義務づけられています。

1600度以上の高温処理を行い無害化

溶融処理とは、アスベスト廃棄物を非常に高い温度で処理する方法のことです。この処理によってアスベストは無害化されます。

現在使用されているアスベストは6種類に分けられますが、その中で最も融点が高いのはクリソタイル(白石綿)で1521度です。溶融処理においては1600度以上の高温で処理されるため、アスベストは全て溶けて害のない状態となります。

溶融処理では、飛散性のある「廃石綿等」はもちろんのこと、飛散性のない「石綿含有廃棄物」も処理できます。

溶融処理を行うメリットは、廃棄物を埋め立てるスペースを最小限に抑えられることです。

アスベスト廃棄物は埋め立て処分によっても処理されていますが、溶融処理した場合と比べると廃棄物の容量が多くなるために、広い埋め立てスペースを必要とするほか、埋め立て作業に手間がかかってしまいます。

その点、溶融処理をすれば廃棄物の量を少なくできるうえに、廃棄物の安全性がより高まることから、有害性のない廃棄物を廃棄できる「安定型最終処分場」でも埋め立てできます。

そのため、アスベスト廃棄物の溶融処理は、環境に優しい処理方法といえるのです。

アスベストの最終処分は、アスベストの飛散による環境汚染が生じることのないよう、厳重な管理に基づいて行われています。

アスベストを処分する場合にはルールを守り、確実な処分が行われたかどうかを産業廃棄物管理票(マニフェスト)で確認しておきましょう。

(画像は写真ACより)

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事