アスベスト飛散対策は、片付け作業中こそ重要
アスベストを含む建物を解体する場合、作業中にアスベストを飛散させない対策を打つ必要がありますが、飛散を完全に防ぐためには、作業が終了して片付けているときの対策が特に重要となります。
片付け作業としては隔離シートの撤去がありますが、作業の手順としては事前に換気を行い、壁面、床面の順で隔離シートを撤去する流れです。これによってアスベストの飛散を防ぐことができます。
隔離シートを撤去する前の準備を確実に隔離シートを撤去する前の準備として「粉じん飛散防止処理」と「換気」を行います。それぞれの作業について詳しくみていくことにしましょう。
粉じん飛散防止処理
粉じん飛散防止処理とは、建材からアスベストを除去した後、建材の壁面からアスベストを飛散させないために行う処理のことです。
建材からアスベストを除去する場合「飛散抑制剤」を使ってアスベストを湿潤化し、ある程度固形化した時点でコテなどを使ってはがし取る作業を行います。
しかし、はがし取る作業を行ってもアスベストを完全に除去することは困難であるため、そのまま放置しておくとわずかに残っていたアスベストが飛散する可能性があります。それを防ぐために粉じん飛散防止処理を行います。
粉じん飛散防止では「飛散防止処理剤」を使用し、建材の表面を固めることによってアスベストを封じ込める形をとります。それによってアスベストが飛散する可能性がなくなるため、安全性が保たれます。
換気を行う 目安は1時間~1時間半
粉じん飛散防止処理が終わったら換気を行います。
作業場内には「負圧除じん装置」が設置されているため、作業場内の空気を排出しつつ、除じん装置でアスベストを吸着してきれいになった空気を屋外に排出することができます。
作業場を換気する時間は1時間から1時間半程度が目安です。
アスベストを除去する作業と粉じん飛散防止処理が終わった後も、作業場内にはアスベストが飛散している可能性があることから、時間をかけて念入りに換気を行い、できる限りアスベストを取り除くことが重要となります。
隔離シートの撤去作業 天井や壁面、床面の順に
粉じん飛散防止処理と換気を行い、アスベストをできる限り少なくした状態で撤去作業に入ります。
シートを撤去する順序は、天井や壁面のものが先で、床面のものが後となります。
床面のシートを残しておいて天井や壁面のシートを先に外せば、アスベストの粉じんが残っていたとしても床面のシートの上に落ちるため、そのシートを処分するだけでアスベストの粉じんを片付けることができます。
撤去したシートは特定管理産業廃棄物に
撤去したシートは、飛散性のあるアスベストを含んでいるため「特定管理産業廃棄物」として廃棄します。
特定管理産業廃棄物とは、人の健康を害したり、または生活環境に被害をおよぼしたりする可能性がある産業廃棄物のことで、飛散性アスベストを含む廃棄物も該当します。そのため、処分するためには厳重な管理が求められます。
作業場を隔離するために使用したシートにはアスベストが付着している可能性があるため、通常の産業廃棄物としては廃棄することができません。
廃棄する場合、運搬は「特定管理産業廃棄物収集運搬業者」に、処分は「特定管理産業廃棄物処分業者」に依頼します。
処分を依頼する時点で産業管理物廃棄表(マニフェスト)を交付し、処分が終了したら業者からマニフェストを受け取り、処分が終了していることを確認しておきます。
アスベストの飛散を完全に防ぐには、隔離シートの撤去作業のような「詰めの作業」の段階で確実な処理を行うことが重要です。
最後まで丁寧な作業を行うことが、アスベスト飛散防止対策における最も有効な方法といえます。
(画像は写真ACより)