健康診断を定期的に受診でき、健康状態の把握が可能に

アスベストを含む建物の解体作業など、アスベストの粉じんが発散する現場ではアスベストのばく露による健康被害が懸念されます。

そのため、アスベスト関連の作業に従事したことがある作業者を対象として健康管理手帳が交付されています。それによって定期的な健康診断を無料で受けられるため、健康の状況を把握できるようになります。

健康管理手帳とは?

健康管理手帳とは、これまでに従事した業務が原因でがんやその他の重度の健康障害が生じる可能性がある人を対象に発行されるものです。

健康障害が発生する可能性がある業務としては、コークス、塩化ビニル、クロム酸など、有害性のある物質の取り扱いや製造などがあげられますが、アスベストを取り扱う作業や粉じん作業も含まれます。

アスベストを取り扱う作業に従事したことがある場合には「石綿健康管理手帳」、または「塵肺健康管理手帳」が発行されます。

それぞれの健康障害手帳の交付を受けるためには、健康被害が生じる可能性がある業務に従事していてその職場を離職するとき、または離職した後に住所のある都道府県の労働局長に申請します。

なお、健康障害手帳は審査の結果認められた時点で発行されます。

健康障害手帳が交付されたら、指定された医療機関で定められた項目の健康診断を年に2回、受診料が無料で受けられます。また、じん肺の健康管理手帳を持っている人に関しては健康診断は年1回となります。

石綿健康管理手帳と塵肺健康管理手帳、それぞれの内容について詳しくみていくことにしましょう。

石綿健康管理手帳

石綿健康管理手帳とは、アスベストの製造や、アスベストの粉じんが発散する場所での業務を行っていた人、または両方の肺にアスベストが原因の異常が見られた人に対して発行されるものです。

対象となる業務は、アスベスト製品の製造のほか、アスベストの吹き付け作業、アスベストが使用されていた建物の解体作業、アスベスト製品の切断作業などがあります。

石綿健康管理手帳は、肺にアスベストが原因の異常が見られた場合には無条件で発行されます。

また、アスベスト製品の製造、アスベストの吹き付け作業、アスベストが使用されていた建物の解体作業など、アスベストの粉じんにばく露しやすい作業に関しては、1年以上従事していた場合に発行され、その他のアスベスト関連業務に従事していた場合は10年以上従事していた場合に発行されます。

塵肺健康管理手帳

塵肺健康管理手帳とは、じん肺管理区分が管理2、または管理3の人を対象に発行されるものです。

じん肺管理区分とは、じん肺の症状の度合いを数値で表したもので管理1から管理4までに分けられており、数値が大きくなるほど症状が重くなります。

なお、管理4に該当する人は療養が必要な状態であり健康診断そのものが不要な状態であるため、塵肺健康管理手帳は発行されません。

塵肺健康管理手帳が交付された人は、指定された医療機関で検査、または健康診断を無料で受けられます。管理2の人は年に1回肺がんに関する検査を、管理3の人はじん肺健康診断を受けられます。

アスベストに関する作業においてアスベストばく露した後、肺に関する疾病が発症するまでの期間は10年から40年程度であり、潜伏期間は非常に長いものとなっています。

つまり、アスベストばく露した後に発症する時期はいつになるか分からない状態であり、不安を抱えながら過ごすことにもなりかねません。

しかしながら、定期的な健康診断を受けられることによって、肺の疾病を早期に発見することが可能となり、早期の治癒を目指すことが可能となります。

(画像は写真ACより)

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