飛散しやすいアスベストを確実に隔離

アスベストを含む建物を解体する場合の重要な作業として「隔離作業」があります。アスベストは微細な繊維状であり飛散しやすい性質を持っていることから、隔離作業は確実に行わなければなりません。

アスベストの飛散を防ぐための隔離作業はどのようにして行えば良いのでしょうか。

隔離シートを使用してアスベストの飛散を防止

アスベストを含む建物を解体する場合に隔離の作業を行う目的は、作業場からアスベストの飛散を防ぐこと、そして、作業関係者以外の人を立入禁止とするためです。

隔離作業の目的として大きなウエイトを占めているのはアスベストの飛散を防ぐことであるため、隔離の作業は厳重に行う必要があります。

隔離の作業では隔離シートを使用しますが、材質はプラスチックのものが最適です。プラスチックシートは透明のもので、十分な強度があるものを使用します。使用するシートの厚さは、壁面を隔離する場合は0.08mm以上、床面に使用する場合は0.15mm以上とします。

床面は作業員がシートの上を歩くことになるため、シートを2枚重ねておきます。これによって床面のシートは強度が高まり、シートの破損を防ぐことができます。

透明のシートを使用する理由は、作業場の内部が見えやすい状態にするためです。現場監督が作業場の状況を確認する場合、透明のシートを使用していれば作業場の中に入る必要がなく、外側にいながら内部の状況をチェックすることが可能となります。

また、十分な強度を持つプラスチックシートを使用すればシートが破損しにくくなることから、アスベストの飛散を防げます。

隔離する場合にプラスチックシート同士をつなぎ合わせる場合、継ぎ目ができることになりますが、アスベストの飛散を防ぐために、プラスチックシート同士は全面を接着テープで貼って重ね合わせます。

隔離した内部は「負圧」の状態とする

また、プラスチックシートで隔離した内部は「負圧」の状態を保ちます。

負圧とは外側よりも内側の気圧が低い状態のことを指しますが、作業場の内部が負圧であることにより、作業場の中から外へと空気が流れるようになります。

また、作業場内には「負圧除じん装置」と呼ばれる装置を設置しますが、この装置を使って作業場内の空気を吸い込み、微細な粒子に対応しているフィルターでアスベストなどの粉じんを捕獲して、きれいな状態の空気を外部に排出します。

つまり、負圧除じん装置を使うことによって、作業場の内部は負圧を保つことができ、アスベストが排出されていくのです。

セキュリティーゾーンを確保

隔離作業においてはアスベストの飛散を防ぐために扉や窓、換気口なども目張りをする必要がありますが、作業者が出入りをしたり、作業で使用する機材や廃棄物を搬出入したりするための出入り口を確保しなければなりません。

その出入り口を「セキュリティーゾーン」と呼びます。セキュリティーゾーンは、外側から作業場の内部に向かって更衣室、洗身室、前室の順に構成されます。

作業場で作業を終えた後は、前室で保護衣や手袋などを脱いで全て廃棄します。ただし、前室ではマスクを外さないでおきます。

洗身室では設置されているエアシャワーで衣服やマスクに付着しているアスベストの粉じんを除去し、最後に更衣室でマスクを外す流れとなります。

隔離作業のポイントは隔離スペースを広げすぎないこと

隔離作業におけるポイントは、隔離するスペースを広げすぎないことです。その理由は、隔離スペースが広いほど負圧の状態を保つことが難しくなり、アスベストが作業場から排出されにくくなるためです。

そのため、隔離するスペースの広さは負圧を保てる程度にとどめておきます。広いスペースを隔離する場合には、そのスペースを何カ所かに区切って隔離スペースを確保する方法もあります。

隔離の作業を正しい方法で行うことによって、アスベストの飛散を防ぐことは十分に可能です。確実な作業を行うことでアスベストによる健康被害の発生を防ぎましょう。

(画像は写真ACより)

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