アスベストの基準値を理解し、健康被害を防ごう

アスベストの健康被害を防ぐため、アスベストに関する基準値が法律で定められています。

ただし、基準値はそれぞれの法律によって異なります。大気汚染や労働者保護など、さまざまな観点からみることによって設定すべき数値が異なるためです。

また、アスベストに関する単位も知っておくと、アスベストについての理解が深まります。アスベストに関する基準値やアスベストの単位についてチェックしておきましょう。

アスベストを数える単位は「本」

アスベストを数える単位は「本」で表されます。その理由は、アスベストが繊維状であるためです。

なお、アスベストを数える場合の条件は以下の通りです。以下の条件を満たさない場合は1本のアスベストとしては数えません。

・アスベストの繊維の長さが5マイクロメートル以上
・幅もしくは直径が3マイクロメートル未満
・アスペクト比が3以上

※アスペクト比:長さと幅の比率
※1マイクロメートル:1mmの1000分の1

また、大気中に含まれるアスベスト濃度を示す単位は「f/L」で表します。fとは「fiber」の頭文字でアスベストの繊維を意味します。Lとは空気1Lのことです。

つまり、アスベスト濃度の数値には、空気1Lあたりアスベスト繊維が何本含まれているかが示されます。なお、一般的な大気のアスベスト濃度は測定検査によると0.1~0.3f/L程度となっています。

アスベストに関する基準値を確認

アスベストを原因とする健康被害を防ぐため、各種の法律にてアスベストに関する基準値を定めています。その数値について確認しておきましょう。

大気汚染防止法

大気汚染防止法においては、特定粉じん発生施設の敷地境界におけるアスベスト濃度の許容限度を10f/Lまでと定めています。

10f/Lという数値は、1986年にWHOが健康へのリスクが小さいと判断した数値で、日本ではそれを元にアスベストの許容限度を定めました。

特定粉じん発生施設とは、アスベストを取り扱う工場や作業場を指し、敷地境界とは施設の敷地境界線の部分を指します。つまり、アスベストが発生する施設の敷地の境界においては、アスベストの濃度は10f/Lを超えてはならないことを意味します。

しかしながら、先述した通り一般的な大気のアスベスト濃度は、測定結果によると0.1~0.3f/L程度となっています。そのため、上記の数値はあくまでも特定粉じん発生施設の敷地境界におけるものとなります。

なお、日本においては、アスベストに関する環境基準は設定されていません。

環境基準とは、人々が安心して生活できる環境を維持するために設けられた基準値のことです。主なものとしては、大気汚染物質の濃度や水質に関する数値、土壌汚染の原因となる物質の濃度などがあります。

労働安全衛生法

労働安全基準法では、アスベストを取り扱う屋内の作業場におけるアスベストの管理濃度を0.15本/cm3と定めています。なお、1000cm3は1Lであるため、1Lあたりの管理濃度は150本となります。

この管理濃度は、大気中における一般的なアスベスト濃度と比較すると非常に高い数値であるため、作業を行う場合はアスベストばく露を防ぐために専用の保護衣やマスクを着用します。

建築基準法

建築基準法では、アスベストが飛散する可能性がある建材の使用を規制しています。具体的には以下の建材です。

・吹き付けアスベスト
・吹き付けロックウールのうち、ロックウールの重さに対してアスベストが0.1%を超えて含まれるもの

これらの建材が建物に使用されている場合、飛散防止対策として除去する必要がありますが、封じ込めや囲い込みによってアスベストの飛散が防げる場合は、それらの方法によるアスベスト対策も認められています。

廃棄物処理法

アスベスト含有建材など、廃棄物の重量に対してアスベストが0.1%を超えて含まれるものについては、他の廃棄物と区分して収集や運搬を行い、定められた処分施設に処分する必要があります。

適切な方法で処分することにより、アスベストの粉じんが飛散したり、あるいは混入したりするのを防げます。

アスベストを含む廃棄物の処理・運搬を依頼する場合は、許可を受けた業者に依頼しましょう。

まとめ

アスベストを数える単位は「本」ですが、一般的には空気1Lあたりに含まれるアスベストの本数を数えます。

また、アスベストに関する基準値はそれぞれの状況に応じてさまざまです。これらの数値を理解し、アスベストによる健康被害の発生を防ぎましょう。

(画像はPixabayより)

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