過去に建てられた建物にはアスベストが含まれる可能性

現在ではアスベストを含む建材の使用が禁止されているものの、過去にはアスベストを含む建材が広く利用されていました。そのため、過去に建てられた建物には現在でもアスベストが含まれている可能性があります。

アスベスト含有建材は内部にアスベストが固められている状態であるため、飛散の可能性は低くなっています。

しかし、建物の解体時に飛散する可能性があることを踏まえれば、ばく露対策のためにもアスベストを含んでいる建材について知っておきたいところです。

アスベスト含有建材とは?

アスベスト含有建材とは、アスベストが含まれる建材のことで、大きく分けると「石綿含有成形板」、「石綿含有建築用仕上塗材」があります。

アスベスト含有建材は特定建築材料には含まれません。特定建築材料とは吹付け材、断熱材、保温材、耐火被覆材のうち、アスベストが0.1重量%を超えて含まれているものを指します。

なお、1重量%とは、物質の重さに対し、特定の物質の重さが1%であることを意味します。そのため、0.1重量%のアスベストとは、建材の重さに対しアスベストの重さが0.1%の状態となります。

建設業労働災害防止協会は、アスベストを含む建材別の作業レベル区分を示していますが、特定建築材料はレベル1~2に分類され、特定建築材料以外の建材はレベル3に分類されます。

特定建築材料はアスベストが飛散しやすい性質がありますが、特定建築材料以外のアスベストはアスベストが建材の内部に固められている状態であるため、通常はアスベストが飛散する可能性は低くなっています。

しかし、建物の修繕や解体作業を行う場合、建材が破断することによってアスベストが飛散する可能性があるため、これらの作業を行う場合はアスベストの飛散防止対策が必要です。

特定建築材料は、2重袋詰めを行うなど厳重に管理し、管理型最終処分地にて処分を行う必要がありますが、特定建築材料以外のアスベストは安定型最終処分地にて埋め立て処分が行うことができます。

石綿含有成形板の一覧

石綿含有成形板の種類を以下に一覧として示します。

・スレートボード
・スレート波板
・けい酸カルシウム板第一種
・パーライト板
・スラグせっこう板
・パルプセメント板
・せっこうボード
・石綿含有耐火被覆板
・窯業系サイディング
・押出成形セメント板
・ビニル床タイル
・住宅屋根用化粧スレート
・ロックウール吸音天井板

上記の石綿含有成形板の大部分は、製造時期が2004年までとなっています。その理由は、2004年10月より1%を超えるアスベストを含む成形板の製造、使用が法的に禁止されたためです。

なお、以下の成形板については2004年以前に製造が終了しています。
【1987年に製造終了】
・ビニル床タイル
・ロックウール吸音天井板

【1994年に製造終了】
・けい酸カルシウム板第一種

【2000年に製造終了】
・石綿含有耐火被覆板

参考:建築物に使われているアスベスト成形板の手引き
島根県アスベスト対策本部
https://www.pref.shimane.lg.jp/

データベースを利用して調べる方法も

過去に建築された建物にはアスベストを含む建材が使用されている可能性がありますが、どの建材にアスベストが含まれているか、ということを見分けることは非常に難しいといえます。

そのような要望に対応するため、国土交通省と経済産業省は、建材に含まれるアスベストの状況を簡単に把握できるようにするため、「石綿(アスベスト)含有建材データベース」をネット上で公開しています。

アスベストが含まれている建材かどうかを確認するためには、検索欄に建材名、商品名、メーカー名、建材の型番・品番のいずれか、もしくは複数の項目を入力します。

さらに、詳細条件として、建物が竣工したおおよその年代を入力できるほか、建物のどの部分に使用されている建材か、という項目なども入力することによって、アスベストの含有状況を確認できます。

参考:石綿(アスベスト)含有建材データベース
https://www.asbestos-database.jp/

政府が公表しているデータベースを閲覧することによって、アスベストを含む建材かどうかを確認することができます。アスベストに対する不安を少しでも解消するためにも、データベースを有効に活用して、ばく露対策に活かしましょう。

(画像は写真ACより)

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